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【愛知】開発4年、評価上々 製造本格化「田峯の紅茶」

ジャンル・エリア : グルメ | 愛知 | 特産  2018年08月07日

田峯茶業組合の製茶工場で紅茶作りに取り組む組合員=設楽町田峯で

田峯茶業組合の製茶工場で紅茶作りに取り組む組合員=設楽町田峯で

 設楽町の茶どころ・田峯地区の製茶工場で、紅茶の製造が本格化している。ゼロからスタートし、今年で4年目。研究を重ね、「まろやかでおいしい」「こくがある」と評価されるようになった。「町の特産品に育て、地域を元気にしていきたい」と関係者は意気込んでいる。

 古くから緑茶「田峯茶」の銘柄で知られる田峯地区は、寒狭川から立ちのぼる霧が適度に直射日光を遮り、良質なお茶が育つ。しかし、栽培農家の高齢化で耕作放棄茶畑が広がり、昭和50年代に年間25トン前後だった生産量が、昨年は9トンまで落ち込んだ。

 危機感を募らせた田峯茶業組合は、「新たな需要を開拓しよう」と2014年から紅茶の開発に着手。県東三河農業研究所(豊橋市飯村町)に通って製造方法を学び、試作を続けてきた。16年9月、名古屋市で開かれた国産紅茶フェスタに出品し、新参ながら高い評価を獲得。昨年11月の東三河地区の品評会では3位と5位に入賞した。

 「試行錯誤の連続だったが、ようやく本格製造のめどが立ちました」。当初から携わってきた組合役員の増岡秀好さん(75)は自信をのぞかせる。均質な紅茶に仕上がるよう、詳しいマニュアルを作って組合員に配布した。

 原料は二番茶。かつては夏場に収穫していたが、今は整枝のために刈り取られ、そのまま放棄される。「もったいないですからね。これを活用し、今年は60キロを目標に製造します」と増岡さんは話す。

パックに詰められた「田峯の紅茶」

パックに詰められた「田峯の紅茶」

 伝統芸能「田峯地歌舞伎」をデザインしたパックに40グラムを詰め、価格は500円(税込み)。地元の田峯特産物直売所と「アグリステーションなぐら」(設楽町西納庫)、「豊根グリーンポート宮嶋」(豊根村坂宇場)の2つの道の駅で販売中。豊橋市の食品販売業者からも引き合いがあるという。

 「このままでは衰退の一途。なんとか歯止めをかけたかった。紅茶プロジェクトを軌道に乗せ、次世代に引き継ぐのが私たちの使命」。熊谷勝組合長(73)は力を込めた。

 (鈴木泰彦)