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【石川】北斎展 師とその弟子たち 信仰と暮らしを風景に

ジャンル・エリア : 展示 | 石川 | 芸術  2018年08月07日

冨嶽三十六景神奈川沖浪裏 葛飾北斎

冨嶽三十六景神奈川沖浪裏 葛飾北斎

 「冨嶽三十六景」シリーズは、北斎の代表作。本作が制作された天保年間(1830~44年)ごろは富士山信仰が盛んで、多くの人が富士山頂を目指して登山した。北斎はアイドル的存在の富士と庶民の風俗を、四季折々の風景として描いた。本作は通称「浪(なみ)冨士」と呼ばれ、「赤冨士」と並んで特に人気が高く、海外でも別格の存在である。

 リズム感のある奇抜かつ大胆な構図。しぶきを上げるダイナミックな浪は、躍動感にあふれている。浪の表と裏を塗り分け、前後に幾重にも描くことで、立体感を生み出している。小さな三艘(そう)の舟は浪に吸い込まれそうになりながらも、房総や伊豆方面からの鮮魚を江戸へ運ぶ。本作では荷は見当たらず、おそらく帰路であろう。上体をかがめ、必死で舟の縁につかまる水夫たちの姿も印象的だ。その奥には、人々を見守るように富士が姿を現す。厳しい自然と共に、その自然と対峙(たいじ)して生きる人々の強さも感じさせる秀作である。 (北原洋子学芸員)

 午前9時~午後5時。会期中無休。一般800円、高校大学生350円、中学生以下無料。(問)七尾美術館0767(53)1500