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【愛知】廃線50年、田口線忘れないで 9月に設楽でイベント

ジャンル・エリア : まちおこし | イベント | 愛知 | 鉄道  2018年08月29日

記念イベントに取り組んできた(左から)石井さん、小川さん、永田さん=設楽町田口の奥三河総合センターで

記念イベントに取り組んできた(左から)石井さん、小川さん、永田さん=設楽町田口の奥三河総合センターで

 豊橋鉄道田口線の廃線50年を記念したイベントが、9月1、2の両日、設楽町で開かれる。忘れ去られた鉄道に光を当てようと、町内の3人の若者が準備を進めてきた。「地域を支えた貴重な産業遺産。風化しつつある記憶を将来に伝えたい」。そんな思いを込めた手づくりの企画だ。

 3人は、町立奥三河郷土館の学芸員石井峻人(たかひと)さんと建築設計士永田祥知(よしとも)さん、農林業小川晃徳さん。任意団体「田口線50の会」をつくり、1年前から企画を練ってきた。

 いずれも34歳。田口線には乗ったことも、走行風景を見たこともないが「こんな山奥に、かつて電車が走っていた。想像するだけでロマンをかき立てられる」と、会の代表を務める石井さんは話す。

 かつての線路跡には「廃線50年」と書かれたのぼり旗が立っている。1本1500円でオーナーを募り、沿線に掲げてきた。「田口線の思い出」の作文公募には全国から約100編が寄せられ、記念グッズの廃線マップやコースターに作文を盛り込んだ。現役時代の田口線や今の廃線跡を収めた記録映像も作った。

「廃線50年」ののぼり旗が立つ田口線三河田口駅の駅舎跡=設楽町田口で

「廃線50年」ののぼり旗が立つ田口線三河田口駅の駅舎跡=設楽町田口で

 イベントの費用の大半は、インターネットによるクラウドファンディングで賄っている。今月24日で応募を締め切り、目標を超える金額が集まった。「不安で仕方なかったんですが…。ありがたいです」。小川さんは笑顔を見せる。

 1、2日のイベント会場は、設楽ダム建設で水没する三河田口駅跡から第1トンネルまでの約200メートルに設定。永田さんは「準備を通し、田口線が果たした役割の大きさを学んだ。記憶を次世代に引き継ぐことができれば」と語った。

 当日は町役場の職員や国交省設楽ダム建設事務所、中部大学鉄道研究会、田口高校ボランティア部も参加し、イベントを支援する。設楽町の横山光明町長は「3人の努力のおかげで田口線に注目が集まりつつある。今後は町も、廃線跡の観光資源化に取り組んでいきたい」と賛辞を贈った。

 イベントの詳細はフェイスブック「田口線廃線50年を盛り上げるプロジェクト」で紹介中。問い合わせは町観光協会=0536(62)1000=か、石井さん=090(7273)5821=へ。

 (鈴木泰彦)

◆記念イベント
 ▽1日 後4~6。三河田口駅跡に駅名板のレプリカを立て、駅舎とホームの遺構を土で埋める「さよならセレモニー」。この後、約100メートル離れた第1トンネル内で田口線をテーマにした映像を上映。後3までに設楽町役場駐車場に集合し、徒歩で現地へ向かう。参加費1000円。

 ▽2日 正午~後3。第1トンネル内でのミニ電車試乗会(小学生以下200円、中学生以上500円)。廃線跡や建設が進む設楽ダムのガイドツアーも。軽トラ市もあり、田口線弁当やジビエ料理、記念グッズなどを販売。後1までに設楽町清崎の愛知森林管理事務所清崎貯木場に集合し、線路跡を約3.5キロ歩いて現地に向かう。歩行困難な人には町がシャトルバスを用意する。試乗会以外は参加無料。

 <田口線> 三河田口駅と国鉄(現JR)飯田線本長篠駅を結んだ22.6キロの単線電気鉄道。地元資本の田口鉄道により1932年に開通。56年、田口鉄道は豊橋鉄道と合併し、豊鉄田口線となった。65年、台風被害により三河田口-清崎間の運転を休止。68年8月31日、全線が廃止された。