ジャンル・エリア : 展示 | 石川 | 芸術 2018年09月03日
金沢駅地下広場
閉校した小学校の黒板に金沢美術工芸大の学生らがチョークで「金沢の四季」を描いた作品が2日、金沢駅東もてなしドーム地下広場に登場した。思い出の詰まった黒板がアートキャンバスとしてよみがえった。(横井武昭)
黒板は、2年前に閉校した金沢市材木町小で使われていた3枚。学校の大規模修繕で不要となった黒板を再利用し街のにぎわいにつなげようと、市が企画した。
絵を手掛けたのは、油画専攻の同大大学院生栄長(えいなが)義雄さん(25)と千川(ちかわ)岳志さん(26)、学部3年の伊藤真里奈さん(22)の3人。鼓門をくぐる北陸新幹線をはじめ、浅野川と花火、雪に包まれる兼六園など、四季の移ろいと金沢を代表する景色を緻密に描いた。
この日は公開プレゼンテーションを開催。3人がチョークを水に溶いて絵の具のように使ったり、粉を吹きつけて雪を表現したりした制作の裏話を披露した。
千川さんは「子どものころは黒板に落書きすると叱られたけれど、絵を描いて喜んでもらえたらうれしい」。栄長さんも「近づいたり、離れたりして見ると印象が変わる。じっくり見て楽しんでほしい」と語った。
黒板アートは同小卒業生も喜ばせた。男性(46)は「閉校は残念だが、こうやって使ってもらえてうれしい」。閉校まで通った女子中学生(14)は「自分が掃除したかもしれない黒板にこんな絵が描かれてすごい」と話した。
展示は7日まで。作品は一度消し、日本画専攻の同大学生が新たな絵を描いて17日から再び展示する。