ジャンル・エリア : 展示 | 歴史 | 近畿 2018年09月13日
彦根市の福満遺跡(小泉町、西今町)で、奈良時代の倉庫とみられる建物の柱跡などが見つかった。彦根市教委によると、現在の犬上郡周辺から税の「租」として集めた米を保管する倉庫で、公的な施設の意味合いを持った物流拠点だったとみられる。30日午前10時から、発掘調査の現地説明会がある。
福満遺跡は縄文後期(3500年前)から鎌倉時代までの複合遺跡で、犬上川右岸から1キロ圏内の自然堤防上にある。市教委は、水運や陸路に恵まれた付近が奈良時代に税の米を集積する公的施設に変遷したとみている。
遺跡の全体像は17万7000平方メートルと広大で、1981年から20回以上調査をしている。今回は、新市民体育センターの建設に向けた事前の調査。市教委が県文化財保護協会に調査を依頼し、小泉町の1万1550平方メートルを昨年8月から発掘していた。
倉庫の柱跡から、約20畳の掘立柱建物2棟を確認。ほかに、古墳時代の竪穴住居跡が見つかり、鎌倉時代の溝から、土器や漆器、木製品も出土した。
調査に関わった県文化財保護協会の中川治美副主幹は「非常に広い範囲で多様な年代の遺構が見つかった。地域の物流や、税の集め方の仕組みを考える上で基礎資料になるのではないか」と話した。
現地説明会では、出土した土器の一部も見ることができる。事前申し込み不要で参加無料。雨天決行。(問)同協会=077(548)9780
(大橋貴史)