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【滋賀】土山出身絵本作家の安井小弥太氏知って 故郷で原画発見、10月展示

ジャンル・エリア : 展示 | 芸術 | 近畿  2018年09月28日

藤本さんの自宅で見つかった安井氏の原画=甲賀市土山町で

藤本さんの自宅で見つかった安井氏の原画=甲賀市土山町で

 甲賀市出身で、乗り物を描いた絵本作家として知られる安井小弥太氏(1905~85年)の原画が、故郷の同市土山町の自営業、藤本康夫さん(60)宅で見つかった。藤本さんら同町の住民は、これを機会に安井氏の業績を知ってもらおうと、10月半ばに土山中央公民館で、見つかった作品などを紹介する「安井小弥太原画展」を開く。

 安井氏は土山村(現土山町)で生まれ、土山小を卒業。京都市立絵画専門学校(現京都市立芸術大)に入学して日本画家・北野恒富に師事した後、乗り物の絵を手がけるようになった。日本画家出身ならではの緻密で丁寧な線を生かして、機関車や飛行機、自動車といった作品を制作。第2次世界大戦前から、幼児向け絵雑誌「コドモノクニ」や「講談社の絵本」など、数々の子ども向け絵本に作品を残してきた。

 ただ、子ども向けの絵本は、原画が出版社に預けられ、子どもが読んだ後は廃棄されがちで、作家の原画や作品は残りにくいという。安井氏も「乗り物の絵本界をけん引した」と言われる存在だったが、現存する原画は少なく、知名度は低めだ。

 藤本さんの家では2年前、絵本「ハタラクジドウシャ」の原画全8枚と、戦闘機や船を描いた原画2枚が、新聞紙に包まれて、たんすの引き出しに入っているのが見つかった。原画には、安井氏作であることを示す赤いランプマークのほか、色づかいを指す「コバルト・草・オレンジ・ネズミ」というメモが記されていた。さらに、本人によるものと思われる「スコシオオキナカツジツカッテクダサイ」の書き込みも、肉眼ではっきり確かめることができた。

 入手経路は定かでないが、藤本さんは「小弥太と年が近く、同郷の亡き祖母が関係しているかもしれない」と推測する。市土山歴史民俗資料館職員の駒井文恵さんも「きれいな状態で保管していて、とても貴重」と驚く。

ハタラクジドウシャなどの原画

ハタラクジドウシャなどの原画

 原画展は、「あいの土山宿場まつり」(10月14日)の開催に合わせ、10月14~20日に開催。藤本さん宅で見つかった原画以外にも、個人所有の原画や当時の絵雑誌、日本画など30点を出展する予定だ。入場無料。

 駒井さんは「安井小弥太は、評価が高いのにほとんど知られていない人物なので、原画展を通じて知ってもらいたい」と期待。さらなる原画の発掘に向けて「もしもランプマークの入った原画を見つけたら、それは価値ある小弥太のもの。大切にしてほしい」と呼び掛けている。

 (高田みのり)