ジャンル・エリア : イベント | 岐阜 | 文化 | 歴史 2018年10月17日
飛騨市神岡町にかつて花街があった歴史を後世に伝えようと、有志らが11月24日に町中心部で、遊郭で位の高い遊女「花魁(おいらん)」が客の元へ向かう行列を再現した「花魁道中」を開催する。行列への参加者を募っている。
発起人は大阪府内でクラシックバレエ教室を主宰する横田公美子さん=堺市。もともと歴史が好きで、花魁の文化に関心を持っていたという。若い世代に正しい歴史が伝わっていないと感じ、2013年から毎年、同志らと、太平洋戦争中に大阪大空襲で亡くなった新町遊郭の遊女らの慰霊を込め、大阪市の御霊神社周辺や下寺町で花魁道中を開いてきた。
神岡での開催を企画したのは、知人の招きで昨秋初めて町を訪れ、かつて花街があったことを知ったことがきっかけ。地元有志らと準備を進めている。遊女には、家庭の事情や借金などで「身売りされた人も多かった」と話し、「華やかな衣装の裏には、女性たちのつらい境遇や思いもあったのだと思う。そうしたことも含めて日本の歴史として後世に伝えていきたい」と狙いを説明する。
神岡に花街があった頃に詳しい同町船津の茂利旅館の四代目茂利昌彦さん(85)によると、神岡鉱山が栄えていた1907(明治40)年、住民が当時の県知事に遊郭の設置を請願してつくられた。大火での焼失や再建をへて、58(昭和33)年、売春禁止法が本格的に施行されるとともに廃止された。
茂利さんは「遊郭は鉱山の発展とともに、朝から晩までにぎわっていた」と振り返る。花園町といわれた一帯に店が11軒あったといい、このうち深山楼などの建物が今も残る。
花魁道中は、午後に神岡町船津の船津座周辺で実施。主役の「花魁」役2人は神岡町の女性にすでに決まった。このほかの遊女役の女性や、花魁が肩に手を置く「肩貸し」、傘持ちといった役の男性などを広く一般から募る。参加無料で、着物などの衣装はすべて主催者側で用意する。着付けなどを手伝う人も募集している。地元の神岡江戸木遣保存会も出演し、木遣(きや)り唄を披露する。
横田さんは「華やかな行列にしたい。興味を持って参加したり、見に来たりしてほしい。毎年続く行事にできれば」と話す。(問)横田さん=090(6057)5496
(浜崎陽介)