ジャンル・エリア : 展示 | 工芸品 | 石川 | 芸術 2019年01月28日
県伝統産業工芸館
工芸の素材を用い、現代美術を創作している作家3人の企画展「工芸×アート」が、金沢市の県立伝統産業工芸館で開かれ、衣類の繊細な質感を焼き物で再現した作品などが並んでいる。2月4日まで。(押川恵理子)
履き古されたハイカットスニーカー、細やかなレースが全面に施された付け襟…。精巧に再現された作品は身に着けていた人の気配を感じさせるよう。驚くことに、どれも焼き物だ。美術作家の山本優美(まさみ)さんが粘土に洋服のしわなどを手彫りし、生みだした。
山本さんは金沢美術工芸大で陶磁を専攻し、ベルギー国立ラ・カンブル美術大セラミックコース修士課程を修了。陶芸を「記憶のメディア」と考え、衣類を観察して、持ち主の気配や生きる姿を焼き物に記憶させる作品を手掛けている。
漆による新たな造形表現の可能性を探究しているのは青木千絵さん。人間の足先から腰までを形作り、腰から上はゆがんだ円筒形になっている作品は、漆の光沢や滑らかな質感がなまめかしい。「多様で複雑な現代社会の中で、漆黒の闇と孤独に向き合いながらたくましく生きる人間の姿」を表現しているという。
麻生祥子さんは粗く織られた白色の布を使う。靴やいす、ワンピースなど6点を組み合わせた作品は麻生さんの祖母や母の愛用品がモチーフ。家庭に流れる時間の移ろいを伝えている。
午前9時~午後5時(最終日は午後3時)、木曜休み。入場料は18歳以上が260円、65歳以上が200円、17歳以下が100円、未就学児は無料。(問)県立伝統産業工芸館076(262)2020