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【富山】70年超途絶えた お札復活へ 射水神社、17日の祈年祭

ジャンル・エリア : まつり | 富山 | 文化 | 神社・仏閣  2019年02月14日

版木とお神札を見せる田中天美権禰宜=射水神社で

版木とお神札を見せる田中天美権禰宜=射水神社で

 射水神社(高岡市古城)は17日に行う五穀豊穣(ほうじょう)や産業発展の祈年祭で、戦後70年以上途絶えていたお神札「祈年祭大麻(たいま)」を復活させる。13日にお神札の奉製清祓祭を行い、松本正昭宮司が稲穂を入れる包み紙に「射水神社祈年祭大麻」と彫られた版木を押し付ける所作をし、印「神璽(しんじ)」を押した。

 神社が保存してきた版木は縦30.6センチ、横8.8センチ、厚み2センチ。神社所蔵の「公文類集」の中に、「北日本大冷害」と呼ばれた1902年の凶作の翌年に、豊作を願う臨時祈年祭を斎行した記述があり、その時に護符(お神札)を特別に奉製したと書かれている。

 臨時祈年祭は、当時の李家(りのいえ)隆介県知事が新年の豊作を祈り、県民を安心させることを切望する内容の書簡を同神社の保科保宮司に寄せ、承諾した保科宮司が執り行った。版木は、その時に作られた可能性があるという。

 戦後の連合国軍総司令部(GHQ)の占領政策で、祈年祭は春祭に名を変えたことから、現在に至るまで祈年祭のお神札は頒布されてこなかった。射水神社が取り組む古儀復興の一環で、版木を写し取って印刷したお神札を50枚準備し、祈年祭の参列者に参列の証しとして渡す。

 田中天美権禰宜(ごんねぎ)(33)は「真摯(しんし)に県民の平穏を祈っていた先人の思いを感じ、御世代わりの平成最後の年の祈年祭で、御神徳があまねく県民に届くことを願ってお配りしたい」と話す。

 (武田寛史)