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【和歌山】触れ合いに笑顔もらう 捕鯨発祥の地 和歌山県太地町

ジャンル・エリア : グルメ | 展示 | 近畿  2019年06月20日

くじらの博物館では、全国的に多いイルカだけでなく、クジラも跳ぶ。訓練で、頭から入水する直前のハナゴンドウ

くじらの博物館では、全国的に多いイルカだけでなく、クジラも跳ぶ。訓練で、頭から入水する直前のハナゴンドウ

 東京勤務時代、有楽町に行きつけの和食店があった。おまかせのみだが、決して高くない。ほぼ毎回出てきたのが鯨の刺し身。赤身にさしが入り、もっちりしていて味が濃い。それを目当てに足しげく通った。

 最近食べてないな。そう思ったら急に食べたくなった。鯨と言えば、ということで鯨漁やくじらの博物館で有名な和歌山県太地町を訪ねることにした。東京からだと遠いが、名古屋からならさほどの距離ではない。

 博物館は町立で、訪ねてみると、本館では捕鯨発祥の地とされる太地の歴史を紹介。江戸時代、多くの人々が役割分担して捕鯨した様子を絵や文章、模型などで説明してある。

 がらりと雰囲気が変わるのは館外に出てからだ。晴天の日に来たことをうれしく思う。稲森大樹・鯨類飼育主任によると、入り江を堤防で仕切った200メートル×50メートルの自然プールには、4種30頭ほどの鯨類が泳ぐ。ちょうどトレーナーの女性たちが芸の訓練をしており、鯨たちは指示に従ってジャンプしたり、近くに寄ってきたりする。

 餌やり体験をしてみた。鯨の一種、ハナゴンドウに魚を与えてみる。生のシシャモを1匹ずつ手に取って、足元で待つハナゴンドウの口を目がけて投げ入れてやる要領だ。口を開け閉めしてうれしそうに食べるので、大人がやっても楽しい。

 次の目的地は燈明崎。江戸時代、鯨漁の指揮を執る人がいた場所で、鯨を発見すると沖の船団に連絡を取り、連携して漁を進めた。見晴らしは抜群だ。

江戸時代、クジラを見つける役割の人たちが拠点にした燈明崎。見晴らしがよく、遠く広く海が見渡せる=いずれも和歌山県太地町で

江戸時代、クジラを見つける役割の人たちが拠点にした燈明崎。見晴らしがよく、遠く広く海が見渡せる=いずれも和歌山県太地町で

 燈明崎からは海岸沿いの高台を歩くことにした。鯨一色の取材にするつもりが出発前、熱烈なドラゴンズファンの上司から「太地町まで行って落合(博満野球)記念館に行かないのか」と言われたからだ。「行くに決まってるじゃないっすか」。果たしてそれは海の近く、住宅街の外れにあった。トレーニングで訪れたことが縁だという。

 2000円の入場料を払って中に入る。1階にはロッテや中日での現役時代に獲得したトロフィーや賞状、中日の監督時代の優勝を伝える新聞などが飾られていた。2階もあるという。上がってみるとそこはギャラリー。信子夫人の手になる落合選手の油絵などが展示されていた。恐れ入りましたという感じだ。

 夕食は鯨料理。刺し身のほかベーコンやさえずりなど初めて食べる部位もあった。総じておいしかったが、思い出は美化されるのか。最後に思った。鯨は有楽町に限る。 (金森篤史)

 ▼ガイド 名古屋から太地町へは、JR特急「ワイドビュー南紀」で紀伊勝浦駅まで3時間半強。太地駅まで普通で7分。町内には、紀伊勝浦駅まで送迎付きの宿もある。くじらの博物館は(電)0735(59)2400。落合博満野球記念館は(電)0735(59)3266

(中日新聞夕刊 2019年6月20日掲載)