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【岐阜】全国3例目、ブナ樹木化石 瑞浪層群本郷層から採集し公開

ジャンル・エリア : 展示 | 岐阜 | 歴史  2019年07月12日

ブナの化石に触る遠山さん(左)と安藤学芸員=瑞浪市明世町戸狩の化石博物館で

ブナの化石に触る遠山さん(左)と安藤学芸員=瑞浪市明世町戸狩の化石博物館で

 瑞浪市化石博物館は11日、同市土岐町の1900万年前の地層から約50年前に見つかっていた樹木の化石2点を鑑定した結果、ブナであることが分かったと発表した。ブナの化石としては岩手県と美濃加茂市に次ぐ全国3例目。当時のこの地域は涼しい気候だったことを裏付ける発見となった。

 2点はいずれも幹で、直径40~50センチ、長さ60~70センチと大型。海に近い陸地の地層「瑞浪層群本郷層」から採集され、瑞浪市内では初の大型の樹木化石となった。

 化石は、同市土岐町で喫茶店を営む遠山英俊さん(64)が、50年ほど前に実家が所有する山林で見つけたという。ハンマーで地層から引き抜き、造林業者に自宅まで運んでもらい、そのまま保管。自宅を取り壊すことになったため、今年1月に市に寄贈した。

 同館は寄贈を受けた後、福井県恐竜博物館の寺田和雄主任研究員と半年ほどかけて共同で鑑定。化石の薄片を作成し、道管や繊維の細胞の配置を分析して、ブナ属であることを特定した。

 これまで市内では、ブナの葉の化石は見つかっていたが、葉は風で飛んだり、水で流れたりするため、産出地がそのまま生育地とは言い切れなかった。

 化石博物館の安藤佑介学芸員は「ブナは低地に生い茂っていたとみられる。瑞浪は伊勢湾岸のような環境だったのかもしれない」とみている。安藤学芸員によると、樹木の化石を観賞用に持っている人は多いが、鑑定できる研究者が少ないため樹種が特定されていないことが多いという。

 遠山さんはブナの化石2点のほかにも、樹木の化石を1点寄贈。鑑定の結果、ケヤキに近く、自生範囲が広いニレ属と分かった。

 ブナの化石は同館の入り口と、13日~9月29日に同館で開催される企画展「化石になった木とはっぱ」で公開する。(問)同館=0572(68)7710

◆記者のつぶやき
 クジラや貝など海にまつわる生物の化石が多い瑞浪市で、樹木の化石は新鮮に感じました。館内には、葉っぱや木の実の化石もあります。夏休みの自由研究にいかがでしょうか。

 (斎藤航輝)