ジャンル・エリア : 石川 | 自然 | 花 2019年08月09日
ピンクの大輪と、生命力に満ちた緑の葉。小松市の木場潟で、見ごろを迎えたハスが真夏の風に揺れている。木場潟では100年以上前にハスの群生地は見られなくなったが、住民らが水質浄化に取り組み、今春、約50株が芽を出した。花言葉は「清らかな心」。かれんな花が、訪れた人の心を和ませている。
地元の木場町には、ハスにまつわる民話が残る。300年前、同市日末町から嫁いだ嫁がハスを大切に世話していた。だが夫と不仲になり実家に戻ると、ハスが咲かなくなったという。「長者のよめとはすのはな」という絵本にもなった。
伝説のハスを復活させようと、木場町内会が1998(平成10)年、南園地と中央園地の間にある船小屋近くに整備した池に、日末町のハスを株分けした。この池から水中を通り茎が伸び、ハスが近くの「潟」に群生したとみられる。
文献などから、木場潟は明治期までハスの群生地だったとされる。70年代から水質が悪化し、地元住民らは2004年に「木場潟再生プロジェクト」を結成。水草を植えるなど地道な取り組みを続けてきた。ハスの花は8月末までが見ごろという。 (青山直樹)