ジャンル・エリア : まつり | 文化 | 歴史 | 静岡 2019年10月16日
◆有形文化財の田町、横町、大当町
100年以上の歴史があり、豪華絢爛(けんらん)な装飾で知られる磐田市掛塚地区の祭り屋台3台が復元新調された。いずれも市有形民俗文化財指定の田町、横町、大当町の屋台で、19、20の両日に開かれる貴船神社大祭「掛塚まつり」でお披露目される。
田町の屋台は、天幕を新調した。「南総里見八犬伝」を題材に、人形作家辻村寿三郎さんの原図を刺しゅうでデザイン。朱色を背景に、物語に登場する八犬士や伏姫(ふせひめ)などが勇ましく艶やかに描かれている。
屋台は1899年に焼失。1952年から屋台本体の建造や彫り物などの装飾が進められ、今回の天幕の新調ですべての復元が完了した。土屋成男自治会長は「完成は地元住民の長年の悲願だった、ずっと大切にしていきたい」と感無量の様子だった。
横町の屋台は、1926年製の天幕を、老朽化により新調した。中国の故事を題材に、王子喬(おうしきょう)など5人の仙人を描いた刺しゅうを、色鮮やかに復元させた。
1907年に再建された屋台を新たに彩る天幕の完成に、鶴谷安孝自治会長は「約100年ぶりに復元できてうれしい。発色が鮮やかで誇らしく思う」と満足そうに話した。
大当町の屋台は、土台を含めた修復が完了した。遠州地域で最古の祭り屋台で、1798年建造とされる。このほど土台の修理、漆の塗り替えや金箔(きんぱく)の張り替えなどが完了した。
往年の輝きを取り戻した自慢の屋台に、立石晃一自治会長は「美しく歴史ある屋台を大切に守っていきたい」と話した。
(夏目貴史)