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【静岡】御利益とアートに浸る 変わる熱海 静岡県

ジャンル・エリア : まつり | | 温泉 | 神社・仏閣 | 芸術 | 静岡  2019年11月21日

本殿にお参りする人、ハートマークの近くで写真撮影する人たち=静岡県熱海市の来宮神社で

本殿にお参りする人、ハートマークの近くで写真撮影する人たち=静岡県熱海市の来宮神社で

 熱海に行ったのは何年前だろう。箱根や下呂、それに、うちの近所にある温泉にはよく行くが、なぜか熱海はご無沙汰だ。久しぶりに行こうと思って地元の人に聞いたら、最近の熱海は温泉だけじゃないらしい。

 静岡県熱海市のJR熱海駅と来宮(きのみや)駅の間にあるのが、来宮神社だ。境内に樹齢2000年の大楠(おおくす)があり、最近パワースポットとして人気を集めている。神社側も、本殿脇から大楠までの小道や休憩施設を整備するなど、参拝客の利便性を高めてきた。

 神社の入り口でいきなり驚いた。平日の午前中なのに、人であふれている。4人組の女性が鳥居の下で、スマートフォンをカメラ台に置いて撮影する間、カップルと女性2人組が順番待ちをしていた。鳥居をくぐって本殿まで歩くと、さらに大勢の人。お参りする人のほか、落ち葉で作ったハートマークの近くで写真を撮る人たちがいた。

 本殿の左奥にある大楠に着くと「心に願いを秘めながら一周すれば願いがかなう」という伝説のせいか、人々が大木の周囲を歩いていた。神奈川県綾瀬市から来たという女性(52)は「熱海が好きで何回も神社に来ているけど、5年前は静かだった。最近はきれいに整備され、すごい人でびっくり」と話し、娘(22)は「初めて来たけど、ハートマークもあってすごい」と喜んでいた。

光に映える大東健太さんの作品 =熱海市のホテルミクラスで

光に映える大東健太さんの作品 =熱海市のホテルミクラスで

 来宮駅から熱海駅は一駅。高台にある駅から、商店街などを通って海の方へ10分強下ると、ホテルミクラスに着く。今年で4回目を迎えた熱海芸術祭(30日まで)の会場の一つだ。

 芸術祭は「文化の街・熱海をステージに、新しい芸術の息吹を感じられるイベントを開催する」という趣旨で、工芸作家展やファッションショー、街中のさまざまな場所に絵画や写真、ガラスなどの作品を展示する「ATAMI ART EXPO」など、場所や会期の異なる複数のイベントからなる。ミクラスではガラス作家、大東健太さんの作品が、30日までロビーに展示されている。

 出発前、このホテルの温泉はお勧めだと聞いたので、男湯がある13階に上がる。確かに気分がいい。秋の心地よい風を受けながら湯船に体を沈めると、浴槽の底の青色を反映したお湯の青、海の青、空の青がグラデーションを作って美しい。

 パワースポットに文化、最後は温泉で締めれば天国だ。

 (金森篤史)

地上40メートルからの眺めが気持ちいい男湯 =ホテルミクラスで

地上40メートルからの眺めが気持ちいい男湯 =ホテルミクラスで

 ▼ガイド ホテルミクラスはJR熱海駅から徒歩12分。(電)0557(86)1111。来宮神社はJR来宮駅から徒歩5分、熱海駅から同18分。(電)0557(82)2241。熱海芸術祭の一環で22~24日、映画上映や音楽コンサートなどがある「熱海怪獣映画祭」が熱海市内で開催される。

(中日新聞夕刊 2019年11月21日掲載)