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【京都・滋賀】ねずみにゆかりの神社 干支でチュー目 にぎわう 京都市・大豊神社 大津市・三井寺

ジャンル・エリア : 動物 | 文化 | 生き物 | 神社・仏閣 | 芸術 | 近畿  2020年01月16日

2体のこまねずみの間で、大国社にお参りする参拝者ら=京都市左京区の大豊神社で

2体のこまねずみの間で、大国社にお参りする参拝者ら=京都市左京区の大豊神社で

 2020年は子(ね)年。初詣の人出が落ち着きそうなこれから、干支(えと)のねずみにゆかりの寺社を訪れるのはいかがだろう。

 まずは京都市左京区の大豊(おおとよ)神社。境内にこまねずみがあるため、子年は初詣客でにぎわうと聞き、昨年末に訪ねてみた。

 着いてみると、さほど大きな神社ではなく、本殿右奥の「大国社(だいこくしゃ)」を守るようにして、2匹のねずみが鎮座していた。祭られている大国主命(おおくにぬしのみこと)が野原で火に囲まれた際、ねずみが洞窟に導いてくれて助かった、という神話が由来だという。

 ねずみたちをしばらく見ていると、ひっきりなしに参拝客が訪れ、写真を撮ったり、お参りしたりしている。学業成就や健康などの御利益がある神社とあって、合格を願う絵馬などが並んでいたが、中には「夢(む)チュー」など、ねずみの泣き声で言葉遊びをした願い事もあった。神社の前には「哲学の道」が通っているので、銀閣寺辺りまで散歩するのも手だろう。

「ねずみの宮さん」と呼ばれる十八明神社=大津市の三井寺で

「ねずみの宮さん」と呼ばれる十八明神社=大津市の三井寺で

 続いて、大津市の三井寺(みいでら)(園城寺)にある十八明神(みょうじん)社。京都と大津は隣接しているので、京都駅から電車で30分もあれば寺の最寄り駅に着く。回りやすい行程だ。

 十八明神社は、平安時代の高僧、頼豪(らいごう)にまつわる伝説から「ねずみの宮さん」と呼ばれる。祈祷(きとう)で天皇の願いをかなえた頼豪は、念願だった戒壇道場の建立許可を得る。しかし、対立する延暦寺の妨害で許可が取り消され、頼豪は憤死。ねずみの妖怪となって8万4000匹のねずみを連れて延暦寺を襲い、仏像や経典を食い荒らしたという。

 大豊神社に比べて恐ろしい伝説だが、大豊神社とは対照的に三井寺の敷地は広いので、しばらく散策することにした。「天地明察」や「柘榴(ざくろ)坂の仇討(あだうち)」など映画のロケがあったことを示す看板がいくつも立っている。かなり知られた寺のようだ。国宝の金堂をぐるりと一周している途中、「左甚五郎が彫った竜だ」という声が聞こえた。

 左甚五郎と言えば、よく落語に出てくる江戸時代の名工だ。参拝客の男性が見上げていた金堂脇の小さな建物は、閼伽井屋(あかいや)という国の重要文化財で、正面上部に竜の彫刻がある。「竜が夜な夜なびわ湖に出て暴れるので、甚五郎が自ら目玉にくぎを打って鎮めた」という。

 そうだ、甚五郎が彫った生き物は動くんだった。落語「ねずみ」も、彫ったねずみが動いて貧しい親子を救う話だ。子年の今年、甚五郎のねずみのように生き生きと仕事に集チュー、趣味に熱チューしたい。 (金森篤史)

 ▼ガイド 大豊神社へは、京都市バス停・宮ノ前町から徒歩5分。京都駅からは100号系統の市バス。本数も多い。(電)075(771)1351。三井寺へは、京阪石山坂本線・三井寺駅から徒歩10分。(電)077(522)2238

(中日新聞夕刊 2020年1月16日掲載)