ジャンル・エリア : 水族館 | 生き物 | 石川 2020年03月12日
のとじま水族館 飼育員も引っ張る
七尾市ののとじま水族館に、20歳を超えても現役でショーに出演し続けるカマイルカがいる。名前は「グリム」。ジャンプやスピンなど多彩な演技を身に付けており、水族館に欠かせない存在になっている。飼育員の戸田裕章さん(38)は「まだまだ元気で、若手職員も引っ張ってくれる。今後も頑張ってほしい」と期待を込める。
グリムは1998年、同市沖の定置網に迷い込んだところを保護された。このため正確な年齢は不明だが、少なくとも22歳は迎えている。水族館によると、同種のイルカの寿命は35年程度で、人間に例えると50歳ほどとみられる。
ともにショーに出ている他のイルカたちが同館へ仲間入りしたのはグリムの5年以上後。グリムはスピンを加えたジャンプやフラフープを回転させるパフォーマンスなど、イルカ仲間では最も多い技を習得している。今も体力の衰えは感じさせず、ショーでの演技のクライマックスを飾る、高さ4メートルの標的を目がけた豪快なジャンプも任されており、見物客を毎回沸かせている。戸田さんは「おかげでショーにバリエーションが出せる」と語る。
性格はまじめで、トレーニングでも集中力が途切れてしまうイルカもいるなか、熱心に練習に取り組んでいる。一方で、おとなしい気性のため、後輩イルカの「カイ」に追いかけられることもあるという。
演技では新人飼育員のサインの出し方がうまくなくても、混乱せず正しい動きができる頼もしい一面も。戸田さんは「逆に新人を教えてもらっている。これからも元気に頑張って、他のイルカも引っ張ってほしい」と話した。 (中川紘希)