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【岐阜】西浦焼テーマに企画展 多治見市美濃焼ミュージアム

ジャンル・エリア : 展示 | 岐阜 | 歴史 | 芸術  2020年05月28日

豪華な絵柄が施された中期の西浦焼の数々=多治見市東町の市美濃焼ミュージアムで

豪華な絵柄が施された中期の西浦焼の数々=多治見市東町の市美濃焼ミュージアムで

 明治時代に多治見の豪商が作らせた西浦焼をテーマにした企画展「加納コレクション」が26日、多治見市東町の市美濃焼ミュージアムで始まった。個人の収集家が集めた作品約50点を展示しており、多彩な日常の器が年代を経るごとにどのように変化したのか見ることができる。7月5日まで。

 西浦焼は多治見の豪商、西浦家が明治時代に美濃焼の名声を高めようと制作させた磁器。作品は海外でも高く評価された。

 同館所蔵の1点を除き、展示作品を所有するのは県内在住の収集家加納康光さん。高祖父が西浦焼の海外進出に関わったのをきっかけに収集を続けており、3年ほど前にコレクションを同館に預けた。

 初期、中期、後期の作品に分けて展示。1868~85年ごろの初期には、西浦家に協力した市之倉の陶工・加藤五輔の影響が色濃く、青色の顔料で精巧な絵付けを施したカップやソーサー、皿などが並ぶ。

 86~97年ごろの中期には、米国に支店を設立した時期で、海外から日本に帰ってきた作品が多く並ぶ。金彩を施したり、花鳥図を釉薬(ゆうやく)の上に描いたりした豪華な花瓶やカップなどを並べた。

 98~1911年ごろの後期になると、欧州のアールヌーボー様式や日本画の輪郭線を描かない技法の影響を受けたやわらかな絵柄になる。富士山や鶴など日本の美しい風景がふんだんに描かれている。

 中心になって準備した学芸員の水野貴子さん(48)は「実際に手にとってみると薄さに驚いた。サイズも小さめで昔の人たちの繊細さを感じた」と振り返る。「絵柄や色の美しさも印象的だったので、来場する人たちにも楽しんでもらえたら」と期待する。

 午前9時~午後5時。月曜休館。入館料320円(大学生210円、高校生以下無料)が必要。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、グループの場合は8人以下での入館を呼び掛けている。

 (片岡典子)