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【岐阜】国重文仏像、隣にレプリカ 白鳥の白山瀧宝殿で企画展

ジャンル・エリア : 展示 | 岐阜 | 文化 | 歴史  2020年06月11日

木造韋駄天立像(右)と善財童子立像(左)の実物とレプリカ像を紹介する企画展=郡上市白鳥町で

木造韋駄天立像(右)と善財童子立像(左)の実物とレプリカ像を紹介する企画展=郡上市白鳥町で

 郡上市白鳥町長滝の長滝白山神社境内にある白山瀧宝殿で10日、境内の長瀧寺が所蔵する国重要文化財の仏像とレプリカ像を紹介する企画展「最新デジタル技術が写し取る白山文化の仏」が始まった。等身大のレプリカ像は長い年月を重ねた彩色や質感まで実物そっくりに再現しており、見学者を驚かせている。7月6日まで。 (中山道雄)

 仏像は木造韋駄天立像(いだてんりゅうぞう)(高さ97.3センチ)と木造善財童子(ぜんざいどうじ)立像(同64.5センチ)の2体。12~13世紀の中国・南宋時代の彫刻で、宋版一切経とともに長瀧寺に伝わったとされる。

 市は仏像の保存と活用のため、2018年に白鳥町大島の会社顧問朝日澄雄さん(75)から寄付を受けた1000万円を使ってレプリカ像を作ることを決定。文化財の保存、再現を手がけている東京芸術大保存修復彫刻研究室に作業を委託した。

 研究室は正確なレプリカ像にするため、三次元計測器でそれぞれの仏像を計測。写真撮影した画像も解析し、詳細な立体データを基に3Dプリンターで樹脂製の原型2体を作った。

朝日澄雄さん

朝日澄雄さん

 表面の段差は錆漆(さびうるし)で埋め、装飾部分は樹脂で細かく成形。実物の仏像と見比べながら彩色を施し、年月による色合いの変化も忠実に写し取った。韋駄天のレプリカ像は、実物同様に金箔(きんぱく)を用いた装飾を再現。善財童子は表面を工具で傷つけることで、漆の細かいひび割れを表現している。

 企画展では、専用のケースに入れた実物の仏像とレプリカ像を隣り合わせで展示し、仏像の由来などをパネルで解説している。

 会場でレプリカ像を見た朝日さんは「実物と見分けがつかないほど良く出来ている。訪れた人に地域の歴史を理解してもらい、郡上のPRにもつながればうれしい」と話していた。

 入館料は高校生以上320円、小中学生110円。火曜休館。