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【長野】松本・庄内北公園のホタル生息数が回復 地域住民らの努力が実結ぶ

ジャンル・エリア : ホタル | 生き物 | 甲信越  2020年07月10日

草の中で光るヘイケボタル=松本市筑摩1の庄内北公園で(午後8時3分から約30秒間撮影した写真を9枚合成)

草の中で光るヘイケボタル=松本市筑摩1の庄内北公園で(午後8時3分から約30秒間撮影した写真を9枚合成)

 松本市筑摩の庄内北公園内の水路で、今年もヘイケボタルの姿が確認されている。水路は市民団体「庄内ほたると水辺の会」が2008年に整備。17年ごろから生息数は激減していたが、月2回の清掃や草刈り、餌となる虫を増やすなどした結果、今年はすでに一晩で100匹以上が見つかった。事務局の丸山満公(みつひろ)さん(76)は「会員の努力が実を結んだ」と喜ぶ。(竹内なぎ)

 会によると、商店や住宅が立ち並ぶ庄内地区は、かつてホタルが多く生息する田園地帯だった。03年に土地区画整理事業が始まり、ホタルもすめる自然環境を残そうと、地元住民らが06年に水辺の会を結成。開発前にあった水路の泥や植物、ホタルの幼虫など生物を新たにできた庄内北公園内に移し、松本の原風景に近い環境を整えた。

 その功績が認められ、13年度には地方紙と共同通信社が地域の優れた取り組みを選ぶ「地域再生大賞」の優秀賞、15年度には自然環境の保護活動などを表彰する「田中正造記念賞」の奨励賞を受賞した。市生物多様性地域戦略ではモデル地区に指定されている。

 ホタルは多いときに一晩で1000匹以上が確認されたが、17年ごろから激減。昨年は10~20匹しか見つからなかった。詳しい原因は不明だが、会では採集する人がいたことや、上流から流れてきた農薬の影響があると見ている。そこで看板で採集禁止を呼び掛けるほか、幼虫の餌となるカワニナを増やすなどの対策を講じてきた。近くの商業施設も、ホタルが活動する午後8~9時ごろには消灯するなど協力している。

 ヘイケボタルの成虫は体長5~7ミリで、10ミリ以上あるゲンジボタルより小さく、草陰に留まって淡い光を放つ。今季は6月中旬から確認され、毎日会員が交代で数を記録している。7月上旬には約130匹となった。家族で訪れた同市里山辺の女児(3つ)は「ホタルを初めて見た。チカチカしてきれい」と目を輝かせた。

 会によると、ピークは7月中旬で8月上旬ごろまで見られるという。7月に予定していた観察会は、新型コロナウイルスの影響で中止。丸山さんは「密にならないよう気を付けて観察してほしい」と呼び掛けている。