ジャンル・エリア : 石川 | 神社・仏閣 2020年07月28日
添えるひと言 にじむ仏教観
夏の風物詩の縁日「四万六千日(しまんろくせんにち)」で知られる金沢市観音町の真言宗寺院「観音院」で、本尊の十一面観音をモチーフにした愛らしいイラスト入りの御朱印が人気だ。住職の妻、安念千尋(あんねんちじゅん)さん(41)が参拝客の目の前で描き、その場でひと言を添える。新型コロナウイルス感染防止のため、今夏の四万六千日が縮小を余儀なくされる中、参拝者を呼び込む新たな名物になっている。(小佐野慧太)
ふっくらした顔に、くりっとした目-。愛らしい観音のキャラクターは「ことづて観音」と名付けた。梅雨ならカエル、夏ならかき氷など、季節を感じさせる絵も一緒に描き込む。カラフルな油性ペンを使い、さらさらと1枚5分ほどで仕上げる。
「ただ流れのまま」「実体がないこの世界」。イラストに添えるひと言には、仏教の世界観がにじむ。「御朱印を依頼してきた人の表情やたたずまいを見て、ふっと頭に思い浮かんだ言葉を書きます」
安念さんは津幡町の真言宗寺院「倶利迦羅不動寺」に生まれた。20代のときに高野山の僧侶養成機関で学び、僧籍も持っている。
絵を描くのが得意で、昨年3月からことづて観音の御朱印を描き始めた。「かわいい」「癒やされる」と評判を呼び、多い日は1日約30人が求める。今年4月には参拝者の勧めで、観音の刺しゅうが入った御朱印帳も製作した。
安念さんは「これからも自然体で描き続け、参拝者とお話をするきっかけにしていきたい」と話している。
今年の四万六千日は8月27日にある。例年、長い行列ができる縁起物のトウキビ(トウモロコシ)の販売数は少なめにする。この時季に市内のあちこちで目にする力強い筆遣いの四万六千日のビラも、今年は観音院の近所だけに配る予定。
御朱印は500円、御朱印帳は2500円。