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【石川】若者誘客 再び狙い撃ち 「アオハル2020」加賀市、来月から

ジャンル・エリア : まちおこし | イベント | 石川  2020年10月09日

インスタグラムに投稿された「#加賀アオハル」

インスタグラムに投稿された「#加賀アオハル」

特典満載、対象年齢も拡大

 加賀市は、若者にターゲットを絞った誘客キャンペーン「加賀アオハル2020」を11月から来年2月末まで行う。「総湯を1万人無料」など、目玉企画を複数用意するほか、市内1円の飲食店や体験施設が、お得で楽しい限定企画を提供する。若者が消費の主役世代になる10年、20年先を見据え、加賀温泉郷のファンをつくるのが狙いだ。 (小室亜希子)

 アオハルとは「青春」を訓読みで読み替えた若者言葉で青春と同じ意味。加賀アオハルは今年で2年目。1年目は対象年齢を19~22歳に限定したのに対し、今回は29歳まで広げる。山代、山中、片山津の総湯の利用料を1万人まで無料にし、文化施設も入館無料にする。限定企画を提供する店舗などは90施設に上る見通しだ。

 1年目は昨年8月~今年3月末に展開され、91施設が参画。「から揚げタワー丼★ハイカロリーDX」「いちご80個を30分以内に完食したらフルーツ狩り無料」など遊び心をくすぐる飲食や体験メニューが多数用意された。

 結果、宿泊実績は267件662人、取扱額は900万円に。写真投稿アプリ「インスタグラム」には900件の投稿があり、約10万件の「いいね」が付いた。加賀アオハルの宿泊クーポン利用者の86%が加賀市初訪問で、市観光推進部は「加賀温泉郷の周知に一定の効果があり、初年度としては成功」とみる。

 市が若年層の誘客に力を入れるのは、将来への危機感からだ。民間調査によると、2018年度に加賀温泉郷を含む南加賀エリアを訪れた宿泊旅行者は35歳以上が83%。20~34歳は17%にとどまり、全国の22%、金沢の26%と比べて低い。この世代の首都圏や大阪在住者への調査では、男性の53%、女性の64%が「加賀温泉郷を全く知らない」と答えた。

 市はこれまでシニア層やファミリー層を主眼に観光戦略を展開してきた。だが近年は定年後も働く人が増えていることや親の介護、ペットの世話などの事情で、シニア層の旅行者数は大きく減少しているとの民間データもある。

 市の担当者は「今、手を打っておかないと、10年、20年先に大変なことになる。若者が消費の主役世代になった時に加賀温泉郷が選ばれるために、まずは知ってもらうことが大切」と力を込める。

企画満載の2019版パンフレット

企画満載の2019版パンフレット

 こうした取り組みを観光業界も歓迎する。山代温泉観光協会の宣伝企画部長、萬谷(よろづや)浩幸さん(44)は「新型コロナウイルス禍の今、若い世代が観光地の消費を引っ張っている」と指摘。その上で「個々の事業者が若い世代にアピールする取り組みをし、温泉地全体として魅力を高めなければならない」と話す。