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【京都】距離取りコロナ終息祈願 八坂神社、神泉苑

ジャンル・エリア : 神社・仏閣 | 近畿  2020年10月15日

八坂神社と合同で祇園御霊会を行った善女龍王社=京都市の神泉苑で

八坂神社と合同で祇園御霊会を行った善女龍王社=京都市の神泉苑で

 自宅の玄関で、マスクにシューッと涼やかなハッカ油のスプレーを吹き付ける。新型コロナウイルス禍を生きるため、今夏から始めた新たな習慣だ。さあ準備は万端。半年ぶりの「旅レシピ」の取材に出掛けよう。

 旅行中は感染対策を徹底することにした。観光や交通の業界団体などでつくる旅行連絡会がまとめた「新しい旅のエチケット」に従って行動しよう。

 まずはJR名古屋駅で新幹線に乗る。普段は11号車など真ん中近くの車両を選ぶが、混む場所を避けるため、16号車へ。ホームの端まで歩き、乗り込むと10人強しか乗客がいない。席に着くと早速、アルコール入り除菌ティッシュで肘掛けなど触りそうなところを一通り拭く。これでひと安心。少し寝よう。

 京都駅まで30分あまり。ホームを歩くと、12、13号車は半分近く座席が埋まっているのが見えた。16号車は正解だった。

 この日の目的は祇園祭に沿ったコロナの終息祈願。同祭は平安時代、京の都などに疫病がはやった際、祇園社(八坂神社)から神泉苑(しんせんえん)に神輿(みこし)を送って厄災の除去を祈ったのが起源。まずは神泉苑に行くことにした。

適度な距離を取って本殿にお参りする人たち=同市の八坂神社で

適度な距離を取って本殿にお参りする人たち=同市の八坂神社で

 境内は広くないようなので、混んでいたら困るなあと思ったが、杞憂(きゆう)に終わった。天からは大雨が落ちてきて、人がほとんどいない。まずは、疫病退散や天下泰平などを祈願する鎮魂の儀礼「御霊会(ごりょうえ)」のお札を購入。6月に八坂神社と合同で祇園御霊会を行った善女龍王社では、護摩木に「コロナが鎮まりますように」と書いて祈った。

 午後は八坂神社へ。雨がほぼ上がったせいか、広い境内には結構多くの人がいた。おみくじを引いて「大吉だった」「私もー」と盛り上がる女子高校生6人組や、手をつないで参拝するカップルがいて、楽しげな雰囲気だ。よく見ると皆、他人とある程度の距離を取っている。

 すいた隙を狙って本殿前に進み、さい銭箱に100円玉を入れてコロナ終息と家族の幸せを祈願。本来なら鈴を鳴らすところだが、手をかざすだけで鈴の音が流れる装置が設置され、コロナ対策は万全だと感じた。

 境内には、疫病よけの神を祭る疫神社もあった。すぐ脇に絵馬を掛ける場所があり、コロナ終息を願うものが多かった。

 久々の旅をして、コロナ以前とは旅の在り方が変わったと感じた。誰もがマスクをして、大声でのおしゃべりはせず、人との距離を取る。少しだけ気を付けながら、以前と同じように旅を楽しもう。 (金森篤史)

 ▼ガイド 八坂神社は、JR京都駅から市バス206番で「祇園」下車すぐ。バスの本数は多い。(電)075(561)6155。神泉苑は地下鉄東西線「二条城前駅」下車、徒歩2分。(電)075(821)1466

(中日新聞夕刊 2020年10月15日掲載)