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【岐阜】無心で磨き 納得の光沢 木のスプーン作り 岐阜県中津川市

ジャンル・エリア : | 岐阜 | 工芸品 | 自然  2020年12月03日

栗くり工房で、スプーン作りの手本を見せてくれる栗谷本征二さん

栗くり工房で、スプーン作りの手本を見せてくれる栗谷本征二さん

 岐阜県中津川市では、自然豊かな地域の特色を生かし、野菜や果物の収穫、川遊び、織物やバターナイフなどのものづくりの体験が手軽にできる。地元の木材を使ったスプーン作りに挑戦してみることにした。

 訪れたのは、栗谷本征二さん(76)の指導でさまざまな自然体験ができる「栗くり工房」。室内には、木で作ったスプーンや箸、しゃもじ、鼻息で音を出す鼻笛、鉈(なた)や斧(よき)などの道具、木材などがところ狭しと並べてあった。完成一歩手前のスプーンの原形の数々は、栗谷本さんが一人で削り出したものだ。

 その中の1本を選び、完成させることにした。紙やすりと食用油で仕上げる工程で、1時間くらいでできる。もし、鉈で木材から削り出すところから始めると、1日がかりだという。

 クリやイチイなど豊富な素材の中から、最も扱いやすく、初心者向けだというホオノキを選んだ。まずは粗い紙やすりを使ってスプーンの形を整え、徐々に細かい紙やすりに替えて磨き続ける。次第に、つるんとした触り心地になっていくのが楽しい。途中で一度、水でスプーン全体を湿らせて、けば立たせ、最も細かい紙やすりで磨く。最後にエゴマ油を塗り込めば完成だ。薄い木の色だったスプーンが濃い茶色に輝いて美しい。

 参加者は「こんなにツルツルになった」「ほれぼれする」と喜ぶという。栗谷本さんは「ものづくりは五感を磨くということ」と話す。そう言われれば、無心に磨いていると、指先が表面の凹凸の具合を細かに把握できるようになった気がする。

 同市では、苗木城跡にも立ち寄った。高森山(432メートル)にある城跡だ。小雨が降る中、岩山に造られた道をつづら折りにゆっくりと上り、城の天守があった頂上を目指す。

苗木城跡。巨岩と石垣の組み合わせが美しい=いずれも岐阜県中津川市で

苗木城跡。巨岩と石垣の組み合わせが美しい=いずれも岐阜県中津川市で

 山頂には巨岩があり、その上に造られた展望台からの景色は360度。遠くに恵那山が、眼下には木曽川が流れ、地元の街並みも見える。城があった戦国時代は、全てを見下ろせて気分が良かったことだろう。建物は残っていないが、足元に見える大矢倉跡の石垣は何段も重層的に造られているのが分かり、まるでアニメに出てくる要塞(ようさい)の跡地だ。これは格好いい。

 一つ残念だったのは、展望台から数メートル下にスマホを落とし、スマホカバーのふちが欠けたこと。触ると痛い。栗谷本さんの紙やすりを思い出し、翌日に買ってきた。2種類かけたら丸くなり、滑らかに。こんな簡単な知恵を何10年ぶりかに思い出したことが、最大の中津川土産かもしれない。 (金森篤史)

 ▼ガイド 栗くり工房では、木のスプーンや鼻笛を作ることができる。料金は1000円から。要予約。(電)090(1625)1888。ものづくりや自然、食など市内の体験プログラムや、苗木城跡などの観光情報は「中津川観光情報サイト」に詳しい

(中日新聞夕刊 2020年12月3日掲載)

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