ジャンル・エリア : 展示 | 愛知 | 文化 | 歴史 2020年12月07日
赤穂浪士の討ち入りで命を落とした吉良上野介義央(こうずけのすけよしひさ)(1641~1702年)が長女の鶴姫に宛てた自筆の書状が、12日から西尾市岩瀬文庫で特別公開される。市が10月に古美術市場を通じて入手した。
時代劇の忠臣蔵では横暴な悪役として描かれる義央だが、書状には娘を案ずる親心がにじむ。市教委は「慈父と呼ぶべき、義央像が浮かぶ貴重な資料」としている。
書状は縦15センチ、横88.5センチ。1673(延宝元)年ごろ、義央が幕府の高家として公務滞在中の京都で、江戸にいる鶴姫に宛てて書いた。市は別の義央の書状と筆跡や字体などを見比べ、自筆と判断。約100万円で購入した。
書状では「がんばって御用を片付け、すぐに帰るのでいろいろお話ししましょう」「父がいなくて寂しいでしょうが、元気にして待っていてください」との内容が記されている。
市教委文化財課の林知左子課長補佐は「13歳の娘に宛てた書状だけあって、平仮名を多用し、語り掛ける文体になっている」と解説する。特別公開は無料で、27日まで。月曜休館。(問)岩瀬文庫=0563(56)2459
(角野峻也)