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【三重】松阪の平生さんきょうだい、和イタリアン「タベルナ ケンタ」オープン

ジャンル・エリア : グルメ | 三重 | 特産  2020年12月23日

オーナーシェフの健太さん(中)、ソムリエの良太さん(右)、遥香さん

オーナーシェフの健太さん(中)、ソムリエの良太さん(右)、遥香さん

 松阪市中町の商店街に、和とイタリアンを融合させたレストラン「タベルナ ケンタ」が誕生した。地元出身の三きょうだいが固定観念にとらわれない新しい料理を提供しており、地元食材を使って地域を活性化させることも目指している。オーナーシェフの平生健太さん(33)は「個々では未熟だが3人ならできる。商店街ももっと盛り上げたい」と話す。

 健太さんは幼いころからイタリアンの華やかさに憧れていたという。中学卒業後、包丁遣いや繊細な味付けなど、表現が多彩な和食から料理の基礎を学ぼうと、市内の料亭「老松」で5年間修業を重ねた。次に伊勢市のイタリア料理店「ラ・ミア・ヴィータ」に29歳まで勤め、イタリアンの基本や素材の味を生かす調理法を身に付けた。

 
手前右が「松阪豚のトマト煮込みのパスタ」で、左が「エビの薩摩揚げ」、奥がギリシャの赤ワイン「キティア キリ・ヤーニ」

手前右が「松阪豚のトマト煮込みのパスタ」で、左が「エビの薩摩揚げ」、奥がギリシャの赤ワイン「キティア キリ・ヤーニ」

 次男の良太さん(32)も「兄と一緒に仕事がしたい」と中学卒業後に料理の道へ。伊勢市のフランス料理店「カンパーニュ」で修業し、調理も接客もこなしてスーシェフ(料理長補佐)を任された20歳の時、「料理以外で他店に対抗できる技を」とワインを学び始めた。日本ソムリエ協会(東京)が認定する上級資格で合格率1割以下の「ソムリエ・エクセレンス」に28歳で合格した。

 2人はそれぞれイタリアやニュージーランドへの留学などを経て2018(平成30)年、夢だった自分たちの店を構えることを決めた。末っ子の遥香さん(27)も兄たちの料理人の顔に憧れ「2人の夢を手伝いたい」と接客を担うことになった。店は祖父の代まで130年、続いた旧結納店を改装。店内は白色を基調に明かりを下げて落ち着いた空間にし、生け花を飾って高級感を演出している。

 
パスタソースに昆布だしを注ぐ健太さん=いずれも松阪市のタベルナ ケンタで

パスタソースに昆布だしを注ぐ健太さん=いずれも松阪市のタベルナ ケンタで

 イタリアンだが、料理の要は和のだし。健太さんは料亭で修業中に和食の魅力を改めて感じ「融合させたいと思った」と話す。メインの付け合わせの野菜は一度、ゆでてから昆布とカツオの合わせだしに漬ける。パスタソースはブイヨンの代わりに昆布だし。「だしで、うま味が強くなる」。良太さんは10カ国30種のワインから「和」に合う1本を提案する。

 表面をソテーした松阪豚の塊肉を、ほろほろと崩れるほどじっくり煮込んでつくる「松阪豚のトマト煮込みのパスタ」や、エビとレンコン、タイムが入ったさつま揚げに、だしに漬けてからソテーした野菜を添えてバルサミコ酢をかける一品もある。

 幼少から商店街を見てきた兄弟は久々に街に戻り「人通りが減って活気が弱くなった」と寂しさを覚えたという。食材は松阪牛や松阪豚はもちろん、可能な限り地元の野菜を使う。「地域に少しでも貢献したい」

 今年3月の開店を目指していたが新型コロナウイルスの感染拡大で遅れ、ようやく11月16日に席を半減させた10席で店を開けた。「家では味わえない料理と厳選したワインで非日常を楽しんでほしい」と良太さん。リピーター客も出て来ているという。健太さんは「客一人一人に寄り添える店にできるよう、3人で成長していきたい」と話した。 (清水悠莉子)