ジャンル・エリア : オブジェ | 石川 | 神社・仏閣 2021年01月12日
「形かわいい」県内外からファン
干支(えと)が「丑(うし)」の今年もいよいよ受験シーズンに突入した。学問の神様として知られる天神・菅原道真公をまつる金沢神社(金沢市兼六町)には、受験生にとって強い味方の牛がいる。なでると願いがかなうといわれる像「夢牛(ゆめうし)」だ。連日受験生の保護者らが続々と訪れ、なでる手に願いを込めている。 (高橋雪花)
のっそりと座り込み眠る姿をかたどった夢牛は、拝殿の横で人々を待ち構える。訪れた同市小立野の会社員女性(63)は、高校3年生の孫(17)の大学受験合格を願い、熱心に頭をなでたり手を合わせたりしていた。「本人の望むところに行って楽しい学校生活を送れるよう、導いてもらいたい」
夢牛は幅140センチ、高さ80センチほど。同市出身の彫刻家、都賀田勇馬(つがたゆうま)さん(1891~1981年)が、戦前に奉納した。宮司の厚見正充(あつみまさみち)さん(61)は「都賀田さんは牛の彫刻を作るのが好きだったようですね。天神様を信仰していたそうです」と話す。
そもそも、道真公と牛のつながりは深い。厚見さんによると、道真公は丑年に生まれた。牛は天神の使いとされ、大宰府(福岡県)に左遷された道真公が暗殺されそうになった時、白い牛が現れて助けたという伝説もある。
全国の天満宮にもなでると願いがかなうとされる牛の像はあるが、夢牛は「形がかわいい」と評判で、県内外からファンが訪れる。毎朝頭をなでていく受験生の母親もいるという。夢牛の体はこけむしているが、なでる人が多いためか頭はツルツルだ。
同神社には、夢牛をデザインしたお守り(初穂料800円)や、ストラップ(500円)がある。夢牛の御利益を味方に付け合格した暁には、夢牛が描かれたお礼参り用の絵馬(300円)もある。
厚見さんは「受験生は新型コロナウイルス禍の中で大変だけど、夢を大きく持って一歩一歩前に進めるよう、夢牛をなでてもらえたら」と話した。