ジャンル・エリア : 城 | 展示 | 工芸品 | 愛知 | 歴史 | 自然 2021年03月04日
愛知、岐阜両県などに出ていた新型コロナウイルス緊急事態宣言は、2月末で先行解除された。しかし、感染拡大を防ぐため、我慢の生活はしばらく続く見通しだ。こもりっきりが心身に良くないのは、高齢者だけでなく子どもも同じ。春も近いことだし、親子で出掛けられ、ためにもなる施設を紹介したい。
愛知県清須市の「あいち朝日遺跡ミュージアム」だ。全国でも有数の弥生時代の大規模集落「朝日遺跡」を紹介する博物館で、昨年11月にできたばかりだ。
まだ2月の少し雲の多い日に訪れた。すぐに目を引いたのが、広場で集まって作業している小学生の一団だ。ミュージアム総括責任者の山口淳一郎さんに聞くと「火起こし体験」だという。近づいてみると、木とひもなどを組み合わせた「マイキリ」と呼ばれる道具で火をおこそうとしている。簡単ではなさそうだ。広場に復元された竪穴住居や高床倉庫などを見て回った後、挑戦してみることにした。
マイキリの横向きの木を上下させると、その力がひもを伝って縦の木を回転させ、ドリルのように、下に置いた板を摩擦で焦がす。反動を利用して何度も繰り返す必要があるが、うまくいかず、すぐ止まってしまう。山口さんにお手本を見せてもらうと、ほどなく板から煙が出た。これで満足することにしよう。
本館に入ると、弥生時代の暮らしが分かる4分間のアニメーションを見られる。「よし、大物だ」などとドラマ仕立てで、漁や戦いの様子が描かれている。その奥ではジオラマで集落の様子を再現してあり、見て分かりやすい。
さらに進むと、土器やくわなどの農具、勾玉(まがたま)、くしなどの出土品がずらり。「キッズ考古ラボ」という部屋には、破片を組み立てて土器を完成させる立体パズルがあり、子どもたちに人気だという。
ミュージアムから徒歩圏内にあるのが清洲城で、隣に2つの公園がある。3施設とも織田信長にゆかりが深い。かつて本丸が置かれていた清洲古城跡公園には信長をまつる小社があり、清洲公園には信長と濃姫の銅像があった。
最後に清洲城を訪問。本物ではなく、1989年に建てられたコンクリート製の建造物だ。内部では、信長や有力武将、武士の暮らしなどが紹介されている。最上階の4階まで上がり、遠くを眺めた。晴れてきたせいか、風が心地いい。陽気がよくなる時季。家族そろって、弥生に出掛けよう。 (金森篤史)
▼ガイド あいち朝日遺跡ミュージアムは名鉄新清洲駅から徒歩22分。(電)052(409)1467。清洲城は同15分。(電)052(409)7330。いずれも月曜休館。入館料は各300円で、両館の共通入場券は500円。
(中日新聞夕刊 2021年03月04日掲載)