ジャンル・エリア : 展示 | 石川 | 芸術 2021年04月30日
東日本大震災や新型コロナウイルス感染拡大などで揺らぐ日常生活をアートで見つめ直す金沢21世紀美術館の企画展「日常のあわい」が29日、始まった。若手からベテランまで国内の7組のアーティストが、それぞれ考える日常と非日常の「間(あわい)」を展示室ごとに表現している。9月26日まで。(松岡等)
出展者のうち、広島市在住の岩崎貴宏さんは、2017年のベネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館にも出品した作家。今回は、台風で壊れた世界遺産の厳島神社の巨大なヒノキの模型「リフレクション・モデル(テセウスの船)」を展示した。幅は7.9メートル。架空の水面で上下が対称に組み立てられ、破壊と修復を繰り返す日本的な建築の「日常」を示している。
東日本大震災後に東北に移り住み、被災地域の人々の暮らしと言葉を作品にしてきた映像作家の小森はるかさんと画家・作家の瀬尾夏美さんのユニットは「みえる世界がちいさくなった」と題して展示室内を構成した。「震災後、オリンピック前」と「コロナ禍」という時間を生きる東京の若者の姿を、映像と文章、絵画で現在進行形のドキュメントとして提示している。
企画展とは別に、21美で開館前に収蔵されながらこれまで公開されていなかった米国出身の世界的な映像作家ダグ・エイケンさんの映像作品「アイ・アム・イン・ユー」の特別展示もスタートした。5面のスクリーンで、米国郊外の日常を素材にしたダイナミックな映像と音による表現を体感できる。11月23日まで。無料。