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【岐阜】旧国鉄バス名金線の制服や車体マーク展示 郡上市・白山文化博物館

ジャンル・エリア : 乗り物 | 展示 | 岐阜  2021年05月28日

名金線の車両など国鉄バスに取り付けられていた車体マーク。ツバメがデザインされている=郡上市白鳥町の白山文化博物館で

名金線の車両など国鉄バスに取り付けられていた車体マーク。ツバメがデザインされている=郡上市白鳥町の白山文化博物館で

 旧国鉄バス名金線(名古屋―金沢)に関する資料が、郡上市白鳥町長滝の白山文化博物館で展示されている。この路線は同町出身の車掌佐藤良二さんが乗務し、沿道に2000本の桜を植えたことで知られる。名金線に関する展示は珍しく、来場者の注目を集めている。 (中山道雄)

 旧国鉄越美南線(現長良川鉄道)の歩みを紹介する企画展の一環。バスの乗務員が着用した制服や制帽をはじめ、車体マークなど計6点を公開している。国鉄バスのシンボルだった車体マークは直径約30センチ。飛ぶツバメがデザインされ、今も銀色に輝いている。表面にねじ穴が3カ所あり、車体側面に取り付けていたマークとみられる。

 越美南線(美濃太田―北濃間72.2キロ)は福井県の越美北線九頭竜湖駅と結ぶ計画だったが、険しい地形と資金難のため実現しなかった。名金線は北濃駅以北の岐阜県と北陸を結ぶ公共交通機関の役割を果たし、1966年に全線開通した。総延長は266キロに及び、国鉄バスの路線では最も長かった。

 佐藤車掌は、この年に桜の植樹を開始。「太平洋と日本海を桜でつなごう」と訴えて活動を続けたが、夢が果たせないまま77年に47歳で亡くなった。

 国鉄バスの運転手だった山田晃さん(83)=白鳥町=によると、開通したころの名金線は未舗装路が多く、雨が降ると泥道になった。名古屋から美濃白鳥を通り、金沢を目指す10時間の道のり。山田さんは「急なカーブが続く峠道では、ハンドルが重くて大変だった」と振り返る。当時は名金線以外にも郡上全域にバス路線があり、山奥の集落まで乗り入れていたという。

つららが垂れ下がったトンネルを走る国鉄バス

つららが垂れ下がったトンネルを走る国鉄バス

 国鉄バスは87年の分割民営化でジェイアール東海バスとなった後、2002年には美濃白鳥営業所管内の路線がすべて廃止となった。かつて多くの人たちを運んだ名金線は忘れられ、佐藤車掌が植えた桜だけが残されている。企画展は6月14日まで。火曜休館。