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【三重】酒出せない居酒屋、起死回生メニュー 四日市、「安すぎ」SNSで話題に

ジャンル・エリア : グルメ | 三重  2021年05月31日

「海鮮のせすぎ丼」を紹介する泉社長=四日市市諏訪栄町で

「海鮮のせすぎ丼」を紹介する泉社長=四日市市諏訪栄町で

 まん延防止等重点措置の対象地域となり、酒類提供を自粛している四日市市で、「すし居酒屋 湊」(同市諏訪栄町)が、新鮮な海の幸をふんだんに使った「海鮮のせすぎ丼」を破格の値段で売り出し、人気を集めている。10種類以上の具材を使ってランチタイムは1000円、夜は1800円。居酒屋が酒を出せないという苦境の中、起死回生のメニューで生き残りを図る。(片山さゆみ)

 器からこぼれるほどに盛り付けられたイクラやアマエビ、マグロ、サーモン。伊勢湾でとれた魚介類を中心に使っているといい、新鮮さも売りだ。県による酒類提供の自粛要請が本格的に始まった12日に発売した。同店を含め四日市市と鈴鹿市で計7店舗の飲食店を経営する「ビーシアフル」の泉晃多社長(39)は「居酒屋で酒が出せないと、お客さんも来なくなってしまう。インパクトのある商品で足を運んでもらいたかった」と話す。四日市諏訪交番前店のほか、鈴鹿平田店(鈴鹿市算所)でも提供する。

 豪華で食欲をそそる写真が「映(ば)える」ためか、インスタグラムやフェイスブックなどの会員制交流サイト(SNS)でも多く投稿され、開店前から並ぶ客も出るほど。SNSを見て訪れた四日市市の古川麻理さんは「この量でこんなに安く食べられるなんて信じられない。とてもおいしかった」と満足そうだった。

 泉社長によると、飲食業界がコロナ禍で打撃を受ける中、食材の原価も「少しは下がっている」というが、1000円という値段設定は「赤字覚悟」。「コロナで暗いニュースばかりの中、食事で少しでもお客さんに喜んでもらいたい」と話す。

 四日市諏訪交番前店の営業時間は、もともと午後5時~午前0時だったが、時短要請のため現在は昼営業も始め、午前11時半~午後8時にしている。開店から午後2時までのランチタイムには、丼のほかに天ぷらや刺し身の御膳やフライ定食なども販売している。

 テークアウトや配送、アウトドア人気の高まりを受けた釣った魚の買い取りなど、コロナ禍でもさまざまな事業を展開してきたが「売り上げはコロナ前の半分くらい」とため息をつく。まん延防止等重点措置の期限は当初の今月末までから6月20日までに延長された。「経営は相当厳しいが、お店の名前を忘れないでいてもらうためにも、今後も新しい取り組みを続けたい」と力を込めた。