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【石川】旧金箔商家 つながりの場に ゲストハウスに改装し開業

ジャンル・エリア : その他 | 石川  2021年06月04日

明治時代の風情を残す町家ゲストハウスかるたの共用スペースで来館を呼び掛ける堀千予さん

明治時代の風情を残す町家ゲストハウスかるたの共用スペースで来館を呼び掛ける堀千予さん

 金沢市幸町の旧金箔(きんぱく)商家が、ゲストハウスに生まれ変わった。新潟県湯沢町から移住してきたオーナーの堀千予さん(43)が、自らも改装を手掛け「町家ゲストハウスかるた」として4月から営業している。「人と人とのつながりをつくりたい」と意気込みを語る。(村松秀規)

新潟から移住の堀さん

 玄関をくぐると、土間から見上げる吹き抜けの高さが目を引く。1、2階の部屋から眺める中庭では、トンボが飛び、風が植栽を揺らしていた。1910(明治43)年に建築された町家の風情を感じられる客室は全4部屋。15人まで宿泊でき、料金は1泊1人5000円から。

 2年前、夫の祖父の家が「金澤町家」であることを写真を見て知った。千葉県出身の堀さんの目には新鮮だった。「関東にこういう建物はあまりなく、とにかく見た目に引かれた」。町家のゲストハウスを開業する夢が膨らんでいった。

 まもなくして金箔商家を紹介され購入。老舗金箔専門店「今井金箔」の分家だと聞いた。昨夏から改装を始め、自らもお勝手や風呂場などを手掛けた。今年3月に完成。夫を新潟に残して金沢に移住し、4月下旬にオープンした。

旧金箔商家を改装して開業した町家ゲストハウスかるた=いずれも金沢市幸町で

旧金箔商家を改装して開業した町家ゲストハウスかるた=いずれも金沢市幸町で

 観光業を営むことは漠然と思い描いていた。20代の初めにオーストラリア各地を巡り、現地ツアーの魅力に気付いた。「人とのつながりができる旅行案内は楽しそうと思った」。帰国して旅行会社に就職。8年前に会社員の夫と結婚し、長野県や新潟県に移り住んでも観光業に携わった。「最終的には自分でやりたいと思っていた」

 新型コロナウイルス禍での開業は正直厳しい。それでも既に2組が宿泊してくれ「うれしかった」と笑顔を見せる。現在は、レンタルスペースとしての活用も提案する。ワークショップや個展の開催を想定し、一部屋1時間1000円、一棟貸しを1時間3000円とした。

 将来は金沢市内の現地ツアーを取り扱うことも考え「まずは人の動きが戻ってほしい」と願う。険しい船出だが、堀さんは前を向く。「どんどんつながりができるのが楽しみですよね」