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【長野】手ぶらキャンプ、より気軽に 上高地・徳沢園、16日に新施設オープン

ジャンル・エリア : | 甲信越 | 自然  2021年07月16日

完成した徳沢ベース(左奥)と、「ぶらキャン」で貸し出しているテント=松本市安曇の上高地の徳沢キャンプ場で

完成した徳沢ベース(左奥)と、「ぶらキャン」で貸し出しているテント=松本市安曇の上高地の徳沢キャンプ場で

 松本市安曇の上高地の山小屋「徳沢園」で16日、キャンプ愛好者向けの多目的施設「徳沢ベース」がオープンする。徳沢キャンプ場で昨夏に始めたキャンプ用品貸し出しサービス「ぶらキャン」の自由スペースとして利用するほか、アウトドアメーカーの商品体験会やワーケーションなどビジネス拠点としても活用する構想だ。(大塚涼矢)

 徳沢園は昨季、新型コロナウイルスの影響で営業を例年より3カ月遅らせ、7月から始めた。上高地への来訪者や宿泊客数が大幅に減る中、上條靖大社長(43)は自然の中で「密」を避けられるレジャーとしてキャンプに着目した。

 しかし上高地は自家用車で乗り入れできず、徳沢園は上高地バスターミナルから徒歩約2時間。荷物の運搬が負担になるほか、キャンプ用品は高額ですぐに買いそろえることができないため「初心者でも気軽に、手ぶらで楽しめるように」と、テントや寝袋などを貸し出す「ぶらキャン」を企画した。

 キャンプ場ではぶらキャン用にテント6張分の区画を確保し、屋外での食事作りも体験できるため家族連れらに人気が高まった。昨年、コロナ禍で徳沢園の事業全体の売り上げは例年より4~5割減ったが、9~10月のキャンプ場利用は7割増だったという。

 ただ山の天気は急変しやすく、上条社長は「初めてのキャンプで一日中雨だと、利用者が山を嫌いになってしまう可能性がある」として徳沢ベースを発案。環境省などから許可を得て今年5月に着工し、展望テラス付き平屋66平方メートルの建物を建設した。事業費は2500万円。

 室内では豆からひいてコーヒーが飲めるほか、雑誌やボルダリングウォールを備え、ぶらキャンの利用者らがくつろぐ空間となっている。施設は商談スペースなどビジネス拠点としても活用していきたい考えで、上條社長は「山の中で過ごすことを主眼にした施設。新しい山の楽しみ方を提供したい」と話す。

 また利用者が集中する休日は山岳ガイド5人をキャンプ用品の使い方を説明するサポート役として配置する。コロナ禍で転職するガイドが増えており、仕事を確保することでコロナ収束後もガイドを続けてもらうための取り組みという。上條社長は「ガイドと山小屋は車の両輪。ガイドがいなくなれば新しく山を始める人も減ってしまう」と説明した。