ジャンル・エリア : イベント | 富山 | 展示 | 芸術 2021年09月10日
「工芸の時代、新しい日常」をテーマに現代アート化する伝統工芸作品を展示する北陸工芸の祭典「GO FOR KOGEI2021」が北陸3県の5会場で10日から開幕する。メディア内覧会が9日、高岡市の勝興寺であった。会期は10月24日まで。北陸工芸プラットフォーム実行委員会、文化庁、日本芸術文化振興会の主催。 (武田寛史)
特別展Ⅰ「工芸的な美しさの行方 工芸、現代アート、アール・ブリュット」の会場は、建造物が重要文化財に指定されている勝興寺、那谷寺(石川県小松市)、岡太(おかもと)神社・大瀧(おおたき)神社(福井県越前市)。特別展Ⅱ「工芸×Design13人のディレクターが描く工芸のある暮らしの姿」は金沢市のsklo(香林坊)とNoetica(下本多町)の2会場で開催する。世界で活躍する46組の作家やディレクター、職人が参加している。
勝興寺では、入り口から大型の竹作品で空間展示する4代田辺竹雲斎(ちくうんさい)さん(大阪府)の「WORMHOLE(ワームホール)」に圧倒される。竹を荒編みしたトンネルが建物と一体化した作品で、竹雲斎さんは「時空をつなぐ異次元な空間を感じてほしい」と話す。
井戸がある薄暗い台所には、乾漆技法で造形した異形2体が並び、奇妙な空間を作る。金沢美術工芸大講師の青木千絵さん(金沢市)の「BODY」(18-2、17-1)。青木さんは「人間のどろどろした感情や上昇していく生命力を表現した作品」と解説した。
ほかにも漆芸の伝統的技法「蒟醤(きんま)」で創作する中田真裕さん(金沢市)が富山の雷や蜃気楼(しんきろう)にインスピレーションを得た作品もある。花道家の上野雄次さんが竹を使った花生けライブパフォーマンスを披露した。
浦淳プロデューサーは「工芸と地域資源を新結合し、北陸をつないでいく試み」、総合監修・特別展キュレーターの秋元雄史さんは「工芸の現代的表現と寺社仏閣の歴史を対比し、工芸アートの魅力を楽しんでほしい」と話す。
料金は特別展Ⅰは勝興寺(1200円)、那谷寺(800円)、岡太神社・大瀧神社(500円)。特別展Ⅱは2会場で1000円。