ジャンル・エリア : 富山 | 展示 | 芸術 2021年09月15日
富山ガラス造形研究所(富山市)の准教授で、富山市ガラス美術館による国際公募展「富山ガラス大賞展2021」で銀賞に輝いた松藤孝一さん(48)の個展「そらのある世界」(北陸中日新聞など後援)が、小矢部市鷲島のアートハウスおやべで開かれている。10月3日まで。 (広田和也)
松藤さんは長崎県出身の被爆三世。愛知教育大でガラス造形の魅力を知り、26歳から米イリノイ州立大大学院で技術を磨いた。帰国後は名古屋市内を拠点に12年間ほど活動し、2016年に現職に就いた。11年の東日本大震災以降は、生と死をテーマにした作家活動に励む。
個展では、新型コロナウイルス禍の中、長男(6つ)と多くの時間を過ごし、感じた希望や不安を13作品で表現。インスタレーション「影と光の空」では、水色のステンドグラスと仏像などを納める厨子(ずし)を壁に取り付け、上から光を当てた。水色の光の美しさと厨子の影を演出することで、社会には希望と不安が混在するというメッセージを込めた。
「世界の終わりの始まり」では、紫外線を当てると緑色に発光するウランガラスを、150を超える大小さまざまな瓶状などにして密集させて、高層ビル群のような未来都市を作った。原爆で軍事利用されたウランがつくり出す都市の美しさに、社会が犠牲の上で成り立っていることを示す。
ほかにも、富山、愛知県の海岸で拾ったカモメガイが穴を掘った石を、人の顔に見立てて撮影した写真も展示。松藤さんは「物事には裏があり、そこに大事な世界が存在していることを知ってほしい」と話している。
水曜休館。観覧料が大学生以上300円で、高校生以下は無料。20日午後3時に朗読・音楽会がある。(問)アートハウスおやべ0766(53)5344