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【三重】蛤に地鶏…“ご当地”堪能 麺食い紀行 三重県

ジャンル・エリア : グルメ | 三重 | 神社・仏閣  2021年10月21日

 ラーメンの食べ歩きが趣味だ。名古屋や岐阜県にはよく行くが、三重県ではほとんど食べたことがないので、1泊2日で行くことにした。

 1軒目は桑名市の「らぁめん登里勝」。ちょうど開店時に着いたところ、既に十数人が行列していた。人気店だ。30分で入店。「その手は桑名の焼き蛤(はまぐり)」という有名なしゃれ言葉もある。遠方から桑名を訪ねてきた身としては「はまぐりしおらーめん」(1380円)一択だ。

 まずはスープから。蛤のダシが香りよく出ていて滋味深い。やや固めの細麺は、適度に口蓋(こうがい)を刺激して心地よい。驚いたのはチャーシューで、肉厚で香ばしく、そこらの店では出合えないレベルだ。

 全体としてこれだけの味なら、ラーメンにしては高い値段にも納得してしまう。申し分のないスタートだ。

 2軒目は、ちょっとラーメンから外れて伊勢市の「伊勢うどんつたや」。伊勢うどん(600円)を食べるのは生まれて初めてだったが、うわさ通り、全くコシがない。でも悪くない。黒くて甘辛いつゆにどっぷり漬かっていて、これが麺と合う。やわらかいだけでなく、小麦粉の味がしっかり感じられる気がした。

豊受大神には、雨でも続々と参拝客が訪れる=三重県伊勢市の伊勢神宮外宮で

豊受大神には、雨でも続々と参拝客が訪れる=三重県伊勢市の伊勢神宮外宮で

 伊勢神宮外宮に着いたときは夕方になっていた。まつられている豊受大神は、天照大神へ食事を提供する衣食住の神だ。今回の「麺食い紀行」にはぴったりの神様だ。

 雨が降る中、入り口の火除(ひよけ)橋を渡り、神域へ。大小の樹木が立ち並び、薄暗く深々(しんしん)としている。そんな中を歩いていると、正宮に着くころには自然と厳かな気持ちになっていた。さい銭を投げ入れ、いつもご飯が食べられることへの感謝を神様に伝えた。やはり、たまには立ち止まって自身を顧みることが大事だ。

 2日目は、津市の「麺匠粋や」から始めた。エスプーマ仕立ての鶏白湯ラーメン「錦爽地鶏らぁめん」(820円)を注文。同様のラーメンは名古屋にも多いが、この店の特徴はスープの色が黄色く、鶏の濃くて深い味わいが楽しめることだ。ここまで来たかいがあったと思える。

 締めは四日市市の「麺屋そにどり」。日ごろはあまり食べない「醤油(しょうゆ)らーめん」(800円)を頼んだところ、さすが名店の味と言うべきか、2食目の昼食にもかかわらずあっという間に平らげてしまった。ごちそうさまでした。

 以上で今回の旅は終わり。でも麺食い紀行は個人的に続けるつもりだ。西か東か。次はどこに行こう。 (金森篤史)

 ▼ガイド 伊勢神宮外宮は、JR・近鉄の伊勢市駅から徒歩5分。問い合わせは神宮司庁(電)0596(24)1111。各店舗の情報は、グルメサイトなどで検索できる。

(中日新聞夕刊 2021年10月21日掲載)