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【岐阜】「龍王」の力で棋力向上? おがせ池 岐阜県各務原市

ジャンル・エリア : 岐阜 | 歴史 | 神社・仏閣  2021年12月02日

池のほとりに建つ八大龍王総本殿。コイにエサをあげる親子連れも訪れる=岐阜県各務原市で

池のほとりに建つ八大龍王総本殿。コイにエサをあげる親子連れも訪れる=岐阜県各務原市で

 1周2キロにも満たない池の周りに「八大」とか「龍王」と名付いたお堂が4つもあるのが、岐阜県各務原市のおがせ池。将棋界の「八大」タイトルの序列トップも「竜王」。最年少四冠の藤井聡太竜王(19)=王位、叡王、棋聖=の活躍で最近よく目にする単語と、リュウの字体こそ違うものの縁を感じる。将棋が趣味の自分もお参りすれば強くなるかもしれない。

 おがせ池は八大龍王の力でひと晩のうちに完成したと伝説が残る農業用ため池。そんな奇跡を起こした八大龍王ならば、きっと御利益も強力なはずだ。池の周囲に整備された遊歩道を南端から反時計回りに歩く。風のない小春日和で、水面に反射する陽光がまぶしい。

 池の北端にあるのが「八大白龍大神」。縁起を記す石碑には「家内安全商売繁盛の神、すがる者には難病を全快に向かわしめる」。勝負事、武運長久は書いていない。棋力向上は専門外のようだ。

 200メートルほど南に進むと「八大龍王総本殿」。池に面した境内では親子連れがコイにエサをあげている。体長50センチ以上はあるコイたちが体をぶつけて奪い合っているのは、えび風味のスナック菓子。やみつきになるのは、魚も一緒らしいが、淡水魚に塩分が多くないかと少し心配になる。

おがせ池に浮かぶ八大龍王社殿

おがせ池に浮かぶ八大龍王社殿

 総本殿の正面の水中には「八大龍王社殿」も建つ。2つのお堂にまつられる八大龍王は、何に効く神様だろう。今度こそ将棋を強くしてくれるはず、と縁起を探すが、ヒントになるものが見当たらない。さらに南に歩き、「八大龍王本殿」へ。さい銭箱の近くに「おがせ池の物語」の冊子が積んである。きっと効能が書いてあるだろう。料金300円を払って読んでみる。

 いわく、池には竜女が住んでいて、若い女や山姥(やまんば)に化けて村人に害をなしたが、勇敢な武人が退治した。いわく、池でおぼれた男が大海原の竜宮城にたどり着いた。龍王のもてなしを受けて3日を過ごして家へ帰ったところ、3年がたっていたという。池にまつわる伝説は書いてあったが、八大龍王の正体は分からない。種明かしを拒まれているようだ。

 半ば諦めながら地図を眺めて気が付いた。池の形は細長い五角形。心の目で見れば…駒に似ている。池そのものが将棋の神様なのかもしれない。池に向かって、あらためて棋力向上を念じた。 (大山弘)

 ▼ガイド 名鉄各務原線苧ケ瀬駅から徒歩15分。無料駐車場もあり、東海北陸自動車道・岐阜各務原ICから自動車で20分。各務原市観光協会のHP内にも案内がある。市観光協会(電)058(383)9925

(中日新聞夕刊 2021年12月2日掲載)