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【静岡】乃木希典の和歌展示 牧之原市史料館

ジャンル・エリア : 展示 | 歴史 | 静岡  2021年12月07日

乃木希典が自作の和歌を揮毫した二行書(左)などが展示されている会場=牧之原市史料館で

乃木希典が自作の和歌を揮毫した二行書(左)などが展示されている会場=牧之原市史料館で

 明治期に活躍した軍人・乃木希典(まれすけ)(1849~1912年)が揮毫(きごう)した二行書が、牧之原市史料館の企画展「続・まきのはらを築いた人々」で公開されている。当時の陸軍で縁のあった牧之原市の元軍曹の求めに応じ、自作の和歌を記した書で、富国強兵の時代の価値観を感じさせる。 (酒井健)

 旅順攻囲戦を指揮し、日露戦争の英雄の1人とされる乃木。

 書には「まかつひのあらひはあらし 武士の 剣の光りくもらさりせは 希典」とある。史料館によると「悪神がどんなに荒ぶっても、武士の剣が曇らなければ恐れることはない」という意味だ。

 西南、日清、日露の3つの戦争に従軍した牧之原市大沢出身の久保遊雲(1853~1943年)の求めで、1908(明治41)年に揮毫。久保は若い頃、陸軍で乃木の部下だったことがあり、乃木を非常に尊敬していたという。

 書は、26(大正15)年に東京の三越呉服店であった乃木をしのぶ記念展に出品されたが、34(昭和9)年に遊雲が売却。代金は福祉や国防に寄付されたという。

 書はその後、所在不明になっていたが、所有していた静岡市内の個人から「史料として役立ててほしい」と申し出があり、11月に市に寄贈を受けた。書は東京での展示から数えて95年ぶりの一般公開になるといい、「失われることなく受け継がれてきたことに、歴史的な価値を感じてほしい」と担当者は話している。

 書は、企画展の第3期「明治の豪傑・久保遊雲」の展示品として26日まで公開している。入館料は大人220円。