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【愛知】「凸盛り」キラキラ、名古屋絵付け伝統技法のクリスマスツリー 瀬戸・県陶磁美術館

ジャンル・エリア : 展示 | 愛知 | 芸術  2021年12月14日

名古屋絵付けの技法を使ったツリーと作者の杉山さん=瀬戸市南山口町の県陶磁美術館で

名古屋絵付けの技法を使ったツリーと作者の杉山さん=瀬戸市南山口町の県陶磁美術館で

 陶磁器の名古屋絵付けの伝統技法「凸(でこ)盛り」を使って作った「クリスマスツリー」が、瀬戸市の県陶磁美術館で26日まで開催中の「クリスマスと冬のテーブル」展に展示されている。技法を伝承する一級技能士杉山ひとみさん(61)=稲沢市=が、平和への祈りを込めて手掛けた。

 作品は縦40センチ横30センチの磁器製板に描かれ「小さな幸せ」と題名が付いている。2~3ミリの厚さに盛り上がった雪の結晶の絵などがかわいらしい。

 飾りのキャンドルが凸盛りの技法で、「台白(だいじろ)」と呼ばれるペースト状絵の具をホイップクリームを絞り出す要領で盛り付けて焼成する。雪の結晶や頂上に止まる「幸せの青い鳥」は「ガラス盛り」と呼ばれる技法でガラスの粉が振り掛けられ、キラキラと輝く。

 杉山さんは30歳から40歳までイタリアに住み、ミラノの工房で絵付けを学んだ。名古屋では高齢の職人らから明治時代以降の技法を研究。「すでに失われたと思われていた」という技術を受け継ごうとしている。

 今回の作品は、同美術館が先月開いた絵付け体験講座に向け、見本として作った。イタリアのクリスマスを改めて文献で調べたといい、「催しとして楽しむ日本人にとってのクリスマスのイメージを大切に、大雨被害や新型コロナウイルスの影響で人々の心が憂鬱(ゆううつ)にならないように願いを込めました」と話している。

 展示では他に、美術館所蔵の洋食器など24点が並ぶ。月曜休館。一般400円、高校・大学生300円、中学生以下無料。

 (西川侑里)