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【静岡】家茂の上洛浮世絵 湖西・新居関所史料館で展示

ジャンル・エリア : 展示 | 歴史 | 芸術 | 静岡  2022年01月24日

東海道の風景とともに幕府の権威を示した浮世絵が展示されている会場=湖西市の新居関所史料館で

東海道の風景とともに幕府の権威を示した浮世絵が展示されている会場=湖西市の新居関所史料館で

 江戸幕府14代将軍・徳川家茂の上洛(じょうらく)を描いた浮世絵29点の企画展が、湖西市新居町の新居関所史料館で開かれている。幕府の威信を懸けた一大事を、豪華絢爛(けんらん)な隊列の描写で表現している。2月27日まで。 (鈴木太郎)

 家茂は国内の尊王攘夷(じょうい)派と開国派の融和を図るため、1863年、3代将軍・家光以来229年ぶりに朝廷のある京に向かった。家茂はその後2度上洛し、3度目の途中に大坂城で没した。東海道を使った1度目の上洛では幕府の権威を示すため、複数の絵師を随行させて様子を描かせた。企画展では随行したうち11人が描いた、館所蔵の作品を展示した。

 新居宿周辺の風景が中心で、浜名湖の今切口を描いた作品では、数多くの帆船を入れることで将軍家の権勢を誇示している。将軍本人や徳川家の「三つ葉葵(あおい)」の紋を直接描くのは恐れ多いとして、多くの絵では代わりに源頼朝の家紋の「笹竜胆(ささりんどう)」があしらわれている。

 展示を担当する市職員、石川浩久さん(61)は「家茂の上洛は、幕末期の動乱を象徴する歴史的な出来事。同じ場所を描いた風景を比較し、絵師ごとの表現の違いを楽しんでもらえれば」と話している。