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【静岡】レシピ継ぎ名店再出発 湖西・カフェキッチン「きんたろう」

ジャンル・エリア : グルメ | 文化 | 特産 | 静岡  2022年02月15日

祖父自作のルーレットや行商の写真が飾られた店内で、店への思いを語る竹内順子さん(右)と一夫さん夫妻

祖父自作のルーレットや行商の写真が飾られた店内で、店への思いを語る竹内順子さん(右)と一夫さん夫妻

 店主の急逝で20年前に閉店した湖西市新居町の和菓子店「金太郎」を、先代の娘竹内順子さん(56)が1月末、郷土の和菓子を楽しめるカフェキッチン「きんたろう」として再出発させた。「料理やお菓子を通して、新居町の良さを発信していきたい」と意気込んでいる。 (鈴木太郎)

 順子さんによると、「金太郎」は祖父、竹内尚吉さんが昭和初期ごろに創業。駄菓子の行商として始まった。お金を入れて回すと、出た番号のわらび餅を食べられる尚吉さん自作のルーレットが、子どもたちに人気だったという。

 尚吉さんの死後は父の功郎(かつお)さんが継ぎ、和菓子店として地域に親しまれた。順子さんは製菓の専門学校を卒業し、しばらく店を手伝ったが、レシピを受け継がないまま功郎さんが2002年に65歳で急死。店を畳まざるを得なくなった。その後、料理人をしていた一夫さん(56)と神戸市で結婚した。

 しばらく神戸で暮らしたが、高齢の母の世話のため、13年前に一夫さんと共に帰郷。温かく迎え入れてくれた地域の人の姿を見て、古里の良さを実感したという。かつての屋号で、夫婦の強みを生かした店をつくろうと考えるようになった。

功郎さんが残したレシピのメモ書き

功郎さんが残したレシピのメモ書き

 順子さんは浜松市の製菓業者の直売店で働き、接客の力を磨いた。3年前に偶然、父の残した菓子のレシピやルーレットを発見。「復刻のタイミングは今しかない」と奮起し、試作を重ねた。使われていなかった元の店舗を改装し、開店にこぎ着けた。

 店では、一夫さんが日替わりランチを、順子さんが父のメモから学んだ菓子作りを担当。店内には尚吉さんの写真や、わらび餅のルーレットを飾っている。もち米を蒸して作る小判状の郷土菓子「すわま」が、カフェタイムの看板メニュー。父のレシピはしょうゆを使った素朴な味わいで、しちりんで焼いて食べるのが特徴だ。

 コロナ禍ではあるものの、先代や先々代を知る町民からの評判は上々で、滑り出しに手応えを感じている。小麦粉の生地を焼いて巻いた郷土菓子「うず巻」の定番メニュー化や、祖父のわらび餅の復活も考えている。順子さんは「1回外に出たからこそ見えた新居町の魅力もある。町内独特の和菓子文化を発信していきたい」と熱を込めた。

 午前11時~午後7時。木曜と第3水曜定休。(問)同店=050(8883)4426

店の名物、しちりんで焼く「すわま」

店の名物、しちりんで焼く「すわま」

カフェに改装した「きんたろう」=いずれも湖西市新居町のきんたろうで

カフェに改装した「きんたろう」=いずれも湖西市新居町のきんたろうで