ジャンル・エリア : 展示 | 工芸品 | 文化 | 歴史 | 石川 2022年03月03日
江戸・内裏びなのみ~昭和・七段飾り
3月3日の桃の節句に合わせ、ひな飾りの企画展が、金沢市飛梅町の金沢くらしの博物館で開かれている。今回の主役は、人形と一緒に飾られるひな道具。お歯黒を施す際に使う嫁入り道具など、時代に応じた変遷をたどることができる。4月10日まで、月曜休み。 (高橋雪花)
庶民の家に飾られていた、江戸から昭和時代のひな人形約200点を展示。学芸員の東條さやかさん(45)によると、初めは内裏びなのみ飾っていたが、明治ごろから徐々にひな道具が増加。大正には種類や数が多様になり、好みに応じて買いそろえた。昭和30年代後半ごろに七段飾りが定着すると、飾る道具が固定されてきたという。ひな飾り自体が婚礼を表現していることから、嫁入り道具などが用いられる。
1921(大正10)年のひな道具には、今でもおなじみの御膳や火鉢の他、身だしなみに関するユニークなミニチュアがずらり。お歯黒をする際に使う道具は、耳だらいに板を渡し、黒い染料を沸かす器具やそれを入れるわんを載せている。
「貝合わせ」という遊びに使う、ハマグリの貝殻を入れるおけも。どれも漆塗りに細やかな蒔絵(まきえ)を施した豪華な作りが目を引く。その他、洗濯板や糸車といった手作りの木のおもちゃもあり、自由に飾り付けていたことが分かる。
初公開となる昭和初期のひな飾りは、東海地方で作られており、御殿飾りの屋根には金のしゃちほこが付いている。5段目には、禿(かむろ)と呼ばれる見習いの幼女を連れた花魁(おいらん)道中の人形が飾られていたという。
東條さんは「こんなに昔から自由な発想でオリジナリティーのあるひな飾りがあったということを感じてもらえたら」と来場を呼びかけている。
観覧料は一般が310円、65歳以上が210円、高校生以下が無料。