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【富山】前衛の書 独自の美学 福光美術館で宮崎重美展

ジャンル・エリア : 富山 | 展示 | 芸術  2022年03月15日

棟方志功から与えられた造語を書にした作品

棟方志功から与えられた造語を書にした作品

 南砺市生まれで、戦後の富山の書道界をリードした書家の故宮崎重美(しげみ)さん(1930~2013年)の書の軌跡をたどる「野を生きた書人 宮崎重美展」が、同市福光美術館で開かれている。4月10日まで。火曜休館。市と福光美術館の主催、北陸中日新聞後援。

 宮崎さんは、前衛派の先駆けとなった書家・大沢雅休(がきゅう)、板画家・棟方志功(むなかたしこう)に薫陶を受け、小学校の教諭を務めながら県展や書道芸術院展などで活躍。県書道連盟委員長の就任を機に団体展から離れ、個展で前衛的な作品を発表し続けて独自の美学を追求した。

 展示では第1~5章まで年代別に分けた作品約100点余りを紹介している。宮崎さんの生涯の作品を一挙に紹介する展示は初めて。

前衛的な書の作品が並ぶ宮崎重美展=いずれも南砺市の福光美術館で

前衛的な書の作品が並ぶ宮崎重美展=いずれも南砺市の福光美術館で

 青年期に棟方志功から与えられた造語で書道芸術院展佳作に選ばれた作品や、草野心平の詩「ごびらっふの独白」を独特な字体で表現した作品、「飛」や「隠」の1字を淡墨ながら力強く筆を走らせた作品などが並ぶ。宮崎さん愛用の硯(すずり)や筆、編さん・出版した「富山県書道人志」(全5巻)などもある。

 開会式には、田中幹夫市長や協力した書家・上田北山(ほくざん)さん(南砺市)、宮崎さんの長男豊さん(富山市)、長女の仁張(にんばり)佳子さん(神戸市)らが出席し、テープカットした。

 上田さんは作品解説しながら「アトリエにある約450点の作品から絞り込んだ展示。2回、3回と足を運んでもらえるとうれしい」と話した。仁張さんは「父の生涯の作品を一堂に会した奇跡のような展示」、豊さんは「父の迫力ある作品を見て初めて父を知ったように思う」と語った。

 開館時間は午前9時~午後5時(入館は午後4時半まで)。観覧料は一般500円、高校生・大学生は210円。 (武田寛史)