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【愛知】花畑、もふもふ…五感刺激 愛知牧場 愛知県日進市

ジャンル・エリア : 動物 | 愛知 | 生き物 | 自然 |   2022年03月17日

一面に広がる菜の花畑

一面に広がる菜の花畑

 ここのところ、花を見てもほとんど感動しない。咲いたな、きれいだな、とは思う。でも、それだけ。30歳を過ぎて感性が鈍ったのかと疑心暗鬼になっていたが、愛知牧場(愛知県日進市)で、その原因が分かった。

 斜面に作られた菜の花畑は、黄色と青空とのコントラストが鮮やか。遠目に見ても美しいが、足を踏み入れた途端、猛烈な春を感じた。香りだ。密集して咲く花の香りがマスクを突き抜け、鼻に届く。久々の感覚だ。新型コロナが流行する2年間、花を見るときも、マスクに邪魔をされてきたことに気が付いた。

 春の陽気に誘われたのか、平日ながら人出は多い。家族連れに交じって、スマートフォンで自撮りを楽しむ若いカップルたちも。構図を確認して、肩を寄せ合って、スマホの角度を変えて、撮った写真を確認して…。街中ならハレンチな光景だが、花畑の中なら自然に見える。むしろ、1番不自然なのは1人ウロウロしている私のような気もする。気にしないことにしよう。

動物と触れ合う子どもたち=いずれも愛知県日進市の愛知牧場で

動物と触れ合う子どもたち=いずれも愛知県日進市の愛知牧場で

 花畑の話ばかりしてきたがここは牧場。ウシもいるし、乗馬体験もできる。今回はヤギ、ヒツジ、ウサギなどと触れあえる「どうぶつ広場」に入ろう。ヒツジたちは、斜面をはねるように走り回ったり、腹ばいになったまま居眠りをしたり。かゆい場所があるのか、寝返りを打つように背中を地面にこすり付けているのもいる。他者の目など気にせず、気ままに振る舞っている。

 エサやり体験をする親子連れの横で、そっとヒツジの頭をなでてみる。ゴワゴワしていると聞いてはいたが、実際に触ってみると、想像以上に硬い。毛には弾力があり、こちらの手をしっかり押し返してくる。これが密集しているのだから、ヒツジたちは想像以上に温かな生活を送っているのだろう。

 新鮮な牛乳を使ったスイーツも、この牧場の名物だ。帰りがけに、入り口近くの売店で、ソフトクリームを買った。牛乳の風味も濃厚だが、後味はさっぱりしていて食べやすい。外でソフトクリームを食べるのも久しぶり。暖かな日差しを浴びながら、舌に当たる冷たさが心地よい。

 名古屋中心部から列車に揺られて数十分の牧場で、久々に五感を刺激する散歩ができた。菜の花畑は4月半ばまで楽しめるという。仕事やマスクに疲れたら、また遊びに来よう。 (大山弘)

 ▼ガイド 愛知牧場へは、名鉄黒笹駅から徒歩10分。車では、東名高速道路東名三好ICから5分。入場無料。花畑100円、どうぶつ広場300円など施設ごとに料金が必要。(電)0561(72)1300

(中日新聞夕刊 2022年3月17日掲載)