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【愛知】古代の栄華に思いはせ 体感!しだみ古墳群ミュージアム 名古屋市守山区

ジャンル・エリア : 展示 | 愛知 | 文化 | 歴史  2022年03月31日

ふき石や埴輪が並べられた志段味大塚古墳

ふき石や埴輪が並べられた志段味大塚古墳

 広場の一角に、小高い丘がある。底面は一辺約14メートルの正方形で、70センチほどの高さに土が盛られている。上部は平たんで、造りかけの土俵かイベント用のステージにも見える。

 「これ、古墳です。四角形の方墳ですよ」と教えてくれたのは名古屋市守山区の「体感!しだみ古墳群ミュージアム(しだみゅー)」のボランティア近藤貴久江さん。しだみゅー裏の広場を一周するツアーのガイドを担当してくれている。

 愛知県春日井市との市境を流れる庄内川に面する志段味地区。4~7世紀ごろは水上交通の拠点として栄え、この地を治めた王たちは河岸段丘の上に古墳を築いた。名古屋市内にある約200の古墳のうち、66基が集中。2014年には、うち7基が「志段味古墳群」として国の史跡に指定された。しだみゅーは遺跡の中心施設として、出土品などを展示し、地域の歴史を伝えている。

埴輪などの出土品や、古墳時代の王の復元モデルが展示された体感!しだみ古墳群ミュージアムの館内=いずれも名古屋市守山区で

埴輪などの出土品や、古墳時代の王の復元モデルが展示された体感!しだみ古墳群ミュージアムの館内=いずれも名古屋市守山区で

 しだみゅー裏の広場には、円形やホタテガイに似た形の古墳も合わせ、計8基が残る。看板がなければ妙に丘の多い広場のようだが「よく見ると、古墳の土は、他と色が違うんですよ」と近藤さん。1時間をかけ、一つ一つの古墳について説明を受ける。数の多さももちろんだが、千数百年前の古墳がよく残っているものだと、びっくりする。

 ひときわ目を引くのが、全長51メートルの「志段味大塚古墳」。埴輪(はにわ)や白いふき石を飾り、建設された5世紀後半ごろの姿を復元している。階段を使って高さ十数メートルの頂上に登ると、建物で庄内川の水面こそ見えないが、対岸の町並みまでよく見える、まさに一等地。この古墳を造った王の権力の大きさが、伝わってくるようだ。

 ツアーを終え、館内の展示室へ。ウマやイノシシ、みこなどをかたどった埴輪がずらりと展示されている。現代のような設備もない中、土をこねて造形した古代人の表現力の高さを感じられる。

 中央にはよろいを着て馬に乗る等身大の人形が、勇ましく刀を振りかざしている。志段味大塚古墳で見つかった馬具や武器、甲冑(かっちゅう)などを参考に作った、復元モデルだ。帯には金の金具があしらわれ、馬には鈴の付いた飾りも。豪華さが際立つが、あの古墳に埋葬されていたと思えば、納得。教科書を読むだけでは想像できない、古代の歴史が伝わってきた。 (大山弘)

 ▼ガイド 体感!しだみ古墳群ミュージアムへは、JR高蔵寺駅から徒歩25分。ゆとりーとラインの上志段味・新東谷橋南の各停留所からは約10分。入館無料だが、展示室は入場料200円、中学生以下無料。休館日は月曜。月曜が祝休日の場合は翌日が休み。(電)052(739)0520

(中日新聞夕刊 2022年3月31日掲載)