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【愛知】中身は「遊び心」ぎっしり 両口屋是清 千なりルーム 名古屋市

ジャンル・エリア : イベント | グルメ | 愛知 | 特産  2022年05月19日

 ホテルの一室。ドアを開け中に入った瞬間、同行の妻が「えっ」と叫んで笑いだす。

 ベッドのブランケットからクッション、壁紙に至るまで「千なり」ばっかりなのだ。言わずと知れた名古屋の老舗「両口屋是清」の看板商品。店員さん気分を味わえるよう法被(はっぴ)も置いてある。

 ここは名古屋駅に隣接する「名古屋JRゲートタワーホテル」。2017年の4月に創業してから5周年を迎えた記念に、コンセプトルームを設置した。何か特定の題材に基づいて、内装や備品などをしつらえた特別な部屋だ。

 室内には宿泊客をもてなすお茶菓子が用意されていて、もちろんそれも「千なり」。ホテルの名前やロゴマーク、5周年の謝辞などが焼き印で記されている。また、お皿も「千なり」が描かれたものを使う凝りようだ。

 さらにおみやげまでつく。ホテルのロゴマークやシャチホコをかたどった特別注文の干菓子。家族や友人と楽しむのにぴったりだ。

 もう一つ、発見があった。両口屋是清の手がける季刊誌「いとをかし」が室内に用意されていた。不勉強な私は、初めて知る雑誌だが、とても優れた内容。鉄道デザインの第一人者・水戸岡鋭治さんの対談など、妻と時間を忘れて読みふけったのだった。

 名古屋の有名ホテルで活躍するマネジャーとお話ししていたら、コロナ禍が長引く中でもかなり客足は戻り、その4割は愛知県内からという。

 遠出は難しくても、近くのホテルや旅館で日常とは違うひとときを過ごしてみたい、と願う人も多いのだろうか。私も体験してみよう。そこでこの部屋を選んでみた。

 非日常の空間であることは折り紙付き。泊まった当日はあいにく雨だったが、部屋にこもってのんびりとお菓子を食べ、「いとをかし」を読むだけでも十二分に楽しい。

 しかもこの部屋はこちらのホテルで一番広い上、2方向に窓があり、部屋や風呂から夜景や、名古屋駅を発着する列車が一望できる。ホテルの企画の担当者たちが、本気で発揮した「遊び心」に満ちた部屋だといえようか。

 6月末までの限定企画で、すでにかなり予約で埋まっているが、どうかお試しを。

 一つだけご注意があって、夜間も名古屋駅を列車が走り抜けるため、その音も客室に響いてくる。私のような鉄道好きには、それも魅力の一つなのだけれど。 (三品信)

 ▼ガイド 「千なりルーム」の料金は、2017年4月の開業にちなみ、1人または2人の利用でも1泊2万174円(食事なし)。(電)052(566)2111。他のホテルでは「ホテルアソシア豊橋」(愛知県豊橋市)が6月から開設する「ブラックサンダールーム」、オオサンショウウオたちに囲まれて過ごす「クロスホテル京都」(京都市)の「オオサンビュールーム」も楽しそう。

(中日新聞夕刊 2022年5月19日掲載)