ジャンル・エリア : グルメ | 特産 | 石川 2022年05月26日
名古屋から朝一番の電車で金沢駅に着いた。兼六園など観光名所へ向かう人々の列を離れて「加賀 白山そば」に行く。最近では減った「駅の立ち食いそば」の名店だ。
北陸ならではの味「白海老(しろえび)かきあげそば」を注文して、590円をお支払いする。湯気の立つそばが、すぐ出てきた。おいしい。「駅の構内だけで石川の味覚を満喫するプチ旅」の始まりだ。
次は「金沢まいもん寿司(ずし)」へ。名古屋や首都圏をはじめ海外にも進出した回転ずしの雄だが、ここ金沢駅の店舗はカウンターのお店。鮮やかな「ベンガラ格子」に囲まれた瀟洒(しょうしゃ)な造りで、心地よい。
白身の高級魚「ノドグロ」のブームをつくった田中靖久店長の勧めで「地魚だらけで七貫盛り」をいただく。旬を迎えた地元産の新鮮な魚介が味わえるお得なセットだ。
この日はマダイと赤西貝、ガスエビ、アジ、ノドグロ、カワハギ、白エビ。こんなに並んでも2500円。お酒が好きな方は、地酒を少しずつ楽しめる「飲み比べセット」(1100円)もぜひどうぞ。
その次は「カフェ 加賀麩不室屋(かがふふむろや)」へ行く。京都と並び飾り麩や生麩の名産地である金沢。もなかのような形状の麩にお湯を注ぐと、みそ汁やスープになる品が各地で流行中だが、その先駆けとなった不室屋の運営するカフェだ。
店内は女性客が多い。少し照れくさいけれど、気にせず「くるま麩のフレンチトースト」(1210円)をお願いした。フランスパンのような麩を焼き上げて、濃厚な抹茶ソースで堪能する。別に注文したお茶は、この地方伝統の「加賀棒茶」。ああ、至福。
帰りの電車にはまだ時間がある。一休みしたら、これも人気の高い「金沢カレー」を食べに行ってみよう。
駅の構内には、チェーン店「ゴーゴーカレー」がある。とろりとした黒っぽいルー、付け合わせにカツと大盛りのキャベツ。「金沢カレー」の特色がこれだ。観光客だけでなく地元の人にも愛されて、店内はほぼいっぱいだった。
こちらもいっぱいになったおなかと、おこづかいがみな消えた財布を抱えて、帰りの電車に乗ろう。この他にも、おでんの名店などいいお店があるが、それはまたいつか。
駅構内だけで、北陸の味を満喫できた。変な企画だが、長引くコロナ禍のため、観光名所の混雑が心配な方には、こんな楽しみ方もありますよとご提案したい。(三品信)
<メモ>紹介したお店は金沢駅構内の「金沢百番街」にあって、基本的に年中無休(元日は休業の場合あり)。いずれも予約は受け付けていないため、行列も覚悟でお出かけを。このほか中部地方では、静岡駅や長野駅にも地元の味覚を楽しめる良い店が並んでいて、記者のお気に入り。
(中日新聞夕刊 2022年5月26日掲載)