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【滋賀】地元酒造家の工夫紹介 地酒ブランド価値向上、滋賀大で企画展

ジャンル・エリア : 展示 | 特産 | 近畿  2022年07月06日

展示内容を紹介する小野教授=彦根市馬場の滋賀大で

展示内容を紹介する小野教授=彦根市馬場の滋賀大で

 県内酒造家の経営手法に関する研究内容の企画展「近江酒造家の情熱と行動力」が5日、滋賀大(彦根市馬場)の総合研究棟で始まった。日本酒の生産量が全国的に減少する中、ブランド価値向上のため努力してきた酒造家たちの行動を、16枚のパネルで紹介している。

 企画を監修した同大経済学部の小野善生教授(組織行動論)によると、国内のアルコール消費量の減少に伴い、日本酒の生産量は1980年の約120万リットルから、現在は約40万リットルまで減少。大手酒造会社への納入量が減少し、中小会社は高品質の地酒を提供するなどの事業構造の転換をせまられたという。

 小野教授は2016年から、県内と高知県で、約30の酒蔵や酒販店への調査を実施。展示ではこのうち、滋賀県内の計7つの酒蔵と酒店での製品、流通、販売促進に関する特徴的な戦略を示した。

 たとえば長浜市の冨田酒造が原材料を地元米に特化させた取り組みを、「契約栽培の農家とのコラボレーションというストーリー性を持たせることによって、自社銘柄のブランド価値を向上させた」と指摘。東近江市の畑酒造については、特約店に限定した販売方法を「目先の利益だけにこだわった取引はしないというスタンス」として取り上げた。

 「小さい酒蔵でも環境の変化に応じ、地域ぐるみでさまざまな取り組みをしていると分かった」と小野教授。「個性を出しながら共存共栄する姿は、伝統産業が生き残るヒントになる」と話した。

 展示は12月23日まで。土、日、祝日は休館。入館無料。午前9時~午後5時。

 (形田怜央菜)