ジャンル・エリア : 三重 | 展示 | 芸術 2022年07月11日
熊野市飛鳥町出身の美術家榎本ひささん(40)の作品展が、尾鷲市の県立熊野古道センターで開かれている。ドイツ語で「展示する」という意味も持つ「吊す」をテーマに、絵をひもにつるして連ねた作品や、天井からつるした木の根の作品など、計30点が並ぶ。9月4日まで。(間宮大貴)
榎本さんは、熊野市の木本高校を卒業後、創形美術学校(東京)やオーストリアの首都ウィーンの美術大などで美術を学んだ。ウィーンを拠点に活動を続ける一方、熊野でも展示会や創作イベントなどを開いてきた。
会場でひときわ目を引くのが立体作品「根っこ」。全長約3メートルで、綿を詰めた布を手縫いし、木の根に見立て、天井からつるした。
作成したのは2020年。新型コロナウイルス禍で、ウィーンではロックダウンが続いた。書物の一節から着想を得て「思い通りにいかずとも、根を伸ばすように、前向きに捉えたい」との思いを込めたという。
窓際につるされた洗濯物や並木道など、ウィーンの日常風景を描いた絵画のほか、「熊野大花火大会」の花火の絵画なども並ぶ。
榎本さんは「日常の何げない美しさや幸せをもとに創作した。それぞれの思い出や感情を感じてほしい」と話している。
センターでは7月23日の午後1~3時、榎本さんによる描写の体験講座が開かれる。対象は小学生以上で、参加費500円。先着20人で、申し込みを受け付けている。熊野古道センター=0597(25)2666