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【岐阜】新型車両と旧型バスと 特急「ひだ」で行く飛騨路 (上)

ジャンル・エリア : 乗り物 | 岐阜 | 鉄道  2022年07月21日

新型車両HC85系の特急ひだのデビューを一目見ようと駆けつけた鉄道ファンら=篠塚辰徳記者撮影

新型車両HC85系の特急ひだのデビューを一目見ようと駆けつけた鉄道ファンら=篠塚辰徳記者撮影

 率直に言うと、私たち鉄道好きの間でJR東海の声望は低い。何といっても、車両の魅力が他社より乏しいのだ。
 
 たとえば東京から名古屋へ中央線経由で、JR東日本の特急「あずさ」とJR東海の特急「しなの」を乗り継ぐと「これで同じ特急なの?」と寂しくなるほど、サービスや車内の設備に落差がある。
 
 そのJR東海が、岐阜県の飛騨地方と名古屋を結ぶ特急「ひだ」に新しい車両を導入した。さっそく乗ってみる。
 
 新型車両は「HC85系」。7月1日、多くの鉄道ファンたちが見守る中、名古屋駅を華やかに出発した。私が乗車したのは、9日の土曜。
 
 結論から言うと、とにかく楽しかった。駅のホームにも車内にもカメラを持った人がたくさんいて、新しい車両のすみずみまでも写している。大人も子どもも大はしゃぎ、お祭りのような雰囲気だ。
 
 沿線の見どころを案内する車内放送は、県立岐阜高校の生徒さんの声だとか。また、停車駅に近づくと、旧国鉄の列車で流された「アルプスの牧場」というメロディーが。うわあ、懐かしいなあ。
 
 あいにく高山線は単線で、駅近くで線路の分岐を走る折などは強く揺れる。乗り物に弱い方、ご注意ください。
 

濃飛バスのボンネットバス

濃飛バスのボンネットバス

 2時間半ほどの列車の旅を楽しみ、到着した高山駅ではこれも昔懐かしいボンネットバスを見かけた。
 
 濃飛バスが今月から運行を始めたばかりの「里山めぐりツアー」用の車両で、製造は1967(昭和42)年。
 
 当時の姿のまま走行できるボンネットバスは、全国でも貴重とのこと。今回は時間がなくて乗れなかったけれど、次に高山に来た折はぜひ、と思いつつ本日の宿に向かう。
 
 高山の市街から少し離れた高台にそびえている「ホテルアソシア高山リゾート」だ。
 
 こちらでは、9月末までの予定で、ひだ号の新型車両のコンセプトルームを開設中。ホテル側のご厚意で、見学させていただいた。

「ひだ」新型車両のコンセプトルーム

「ひだ」新型車両のコンセプトルーム


 
 壁には新型車両の写真や、高山線の「駅名標」を掲示。新型車両の写真を印刷した枕カバーなどは、英国の会社に特注したものなのだとか。
 
 また、この部屋に泊まると晩ご飯は飛騨牛やアユなど、高山線沿線の特産物を味わう「ひだ旅御膳」となる。新型特急のデビューを記念して、料理長が新たに考案した献立なのだ。力が入っている。
 
 観光業の盛んな飛騨地方。小社の島崎諭生高山支局長は「コロナで打撃を受けたため新型車両への期待は大きい」という。ならば私も、飛騨を勝手に応援しよう。このためあと2回続く。 (三品信)
 
▼ガイド 新型「ひだ」は現在、名古屋駅の発着が1日2本ずつで運行中。詳細はJR東海のホームページで。濃飛バスのボンネットバス「飛騨高山 里山巡り」のツアーは8月以降、毎月行き先が変わり、さまざまな行程を楽しめる。1人1100円で事前予約制。詳細と予約は濃飛バスのホームページで。ホテルアソシア高山リゾートの「新型ひだ号HC85系ルーム」は1泊2食付きで、1室2人利用なら1万8000円から。詳細と予約はホテルのホームページで。
 
(中日新聞夕刊 2022年7月21日掲載)