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屏東 おいしい取材は希少

2009年11月20日

 台湾各地に伝わる民俗行事を取材する楽しみは、普段の台北勤務では味わえない郷土料理や屋台の「B級グルメ」に巡り合えることだ。

 ただ、難題がある。行事主体の宮や廟(びょう)の担当者に話を聞くと、もてなし好きの「好客」な台湾の人たちから、しばしば食事を勧められる。

 大人数が行事運営に大わらわの最中だけにその食事は簡易弁当のケースが多い。ごちそうされて愚痴るのも不謹慎だが、一歩街へ出れば興味津々の食べ物があふれているだけにやや恨めしい。

 ただし、大当たりもある。厄災退散を願って船を燃やす「王船祭」で先に訪ねた屏東県の東隆宮で振る舞われたのは海鮮粥(がゆ)。マグロの水揚げ港が近いとあって、マグロの切り身やイカ、カキ、エビなどが盛りだくさん。

 大鍋で豪快に煮炊きされた賄い料理は、一年余の台湾暮らしで最高にうまい一品だった。 (栗田秀之)